田中防衛相いい加減!局長更迭が“急旋回”

2012.02.04


田中直紀防衛相【拡大】

 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市長選をめぐり防衛省の真部朗沖縄防衛局長が部下の職員に「講話」で投票を呼び掛けた問題で、田中直紀防衛相が急旋回した。3日にも更迭する方針で調整を進めたが、官邸サイドからの慎重論を受けて、調査継続へと変わった。更迭しても沖縄県の反発を和らげることはできないと判断したものだが、安全保障政策の推進体制の立て直しが急務にもかかわらず、野田佳彦政権の危機意識の欠如を改めて露呈した。

 「選挙があるからとか、お騒がせをしたからとかで早く処分するのではトカゲの尻尾切りだ。こんな安易に決めていいのか」

 3日の衆院予算委員会集中審議で、自民党の中谷元・元防衛庁長官はこう田中氏らに迫った。この発言を受け、官邸サイドは自民党が更迭を強く求めておらず、今後の国会審議にも大きな影響が出ないと判断、藤村修官房長官が田中氏にこの日の更迭の決定を見送るよう求めた。

 この問題をめぐり、田中氏は早期に更迭する考えだった。

 「真部氏を人事異動させたらどうか」

 田中氏は1日夜の政務三役会議で述べた。長引けば国会審議や市長選に影響が出る恐れがあったためだ。

 防衛省内には真部氏が特定の候補者に投票を呼びかけたか不明瞭だったため調査を続行する必要があるとの慎重論も強かった。下条みつ政務官も2日夜の三役会議後、「期限を切ってやるより精査する時間を得た方がいい」と明言した。

 それでも田中氏は「市長選にできるだけ迷惑がかからない形がとれれば」と市長選前の決着を目指した。だが官邸側の意向を受け、田中氏は調査継続へとあっさり方針転換した。記者団から処分時期を聞かれると「十二分に調査ができればその時になる」と述べるにとどまった。

 もっとも、首相が予算委で「国民や沖縄県民からすれば批判せざるを得ない部分もあった」と認めたように、県側が反発をさらに強めるのは必至だ。自らの国会答弁に追われる田中氏が今後の見通しを立てられるはずもない。

 田中氏はこの日も防衛問題での素人ぶりを露呈した。中谷氏が「国防の基本方針」の内容を尋ねると「基本方針は…、手持ちにありません」と述べた。

 たとえ田中氏が「不適任」でも米軍再編は待ってはくれない。普天間問題は政府が想定する移設先の埋め立て申請の6月に向け、環境影響評価書の知事意見提出など重要案件の期限が続く。首相は自らの沖縄訪問について、今春に予定している訪米前には実現したいとの考えを示した。

 米国のアジア太平洋戦略の見直しとからむ米軍再編協議は田中氏の理解の範囲を超える。加えて、今回の問題への鈍い対応で、沖縄側が日米合意の見直しに耳を傾けるはずもない。

 「首相は防衛相人事を輿石東民主党幹事長に任せて失敗を続けた。沖縄問題を真剣に考えているのか…」

 公明党幹部の一人はあきれた表情で語った。(加納宏幸)

 

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