2008/04/22

4月12日、南青山MANDARAにて鮎川麻弥のライブ『鮎川麻弥 LIVE!! 愛しいあなたはここにいる〜Spring〜』が行われた。会場はバーカウンターもあるお洒落なレストランといった趣きで、観客は椅子に座ってドリンクやフードを口にしながら開演を待つといった、ムーディーな雰囲気が醸成されていた。

会場の照明がゆっくりと落ち、まずは今日のライヴを支えるバンド、須藤賢一率いるBROADWAYが登場。そしてそのあとに本日の主役、鮎川麻弥がゆっくりと登場し、まずは須藤のピアノのイントロから「A Song For You」がスタート。客席とステージの距離が驚くほど近いMANDARAだが、彼女がふくよかな歌唱でワンフレーズ口にした瞬間、その距離感は一層縮まっていく。「こんばんは、鮎川麻弥です。ようこそ!」と言って、続いて「45rpmのGod Bless You」へ。跳ねるリズム上を楽しそうに踊りながら、途中須藤と敬礼を交わして軽快に歌う。特にラストの情感溢れるフェイクはさすがの一言だった。
「いっしょに楽しい時間を作ってください」というMCを挟み、春らしく清涼感に満ちた「Twi-a Twi-a」、歌詞のとおり"波のように"押しては返すミディアム「宵やみはスローに」と、爽やかなナンバーを続けるあたりで、観客も席に座りながら彼女たちのパフォーマンスに引き込まれていっている模様。そんななか、MCではなぜか漢字のお話が。「魚へんに春夏秋冬のうち、実際にない漢字はなんでしょう?」という漢字クイズを観客に出題。一方で圧倒的なヴォーカル・パフォーマンスを披露しながら、こういった人懐っこいMCで緩和させるあたりはさすが慣れた印象だ。そのような親しみやすいステージが観客のすぐそばで行われているという、まったく贅沢な瞬間を噛み締める次第である。
そんなまったりとした雰囲気のなか、弾むような「夢見る頃を過ぎても」とファンキーな「あの頃にスマイル」でセットは再開。そして圧巻だったのは、オリエンタルなシンセをバックに低く抑えたヴァースから切なく響くサビまで圧巻のヴォーカルを聴かせてくれた「愛はロマネスク」。さまざまなスタイルの楽曲に、表情をいくつも変えながら歌うその姿に鳥肌が止まらない。

イベント『スーポーロボット魂』の出演が切っ掛けで共演することとなった、バック・バンドを勤めるBROADWAYの面々を紹介したあとは、カヴァー・コーナーに突入。まずはカーペンターズの名曲「I Need To Be In Love(青春の輝き)」。カレン・カーペンターよろしく彼女のディープな歌唱が響き渡るバラードだ。続くナット・キング・コールのスタンダード・ナンバー「L-O-V-E」では、ジャジーな演奏をバックに中間にスキャットを織り交ぜるなど、軽快に歌いきる。そして、本編を締め括ったのは、昨年リリースした最新シングルより、車好きな彼女らしい歌詞の「Drive」、そして神々しいイントロからスタートするスロウ・ナンバー「愛しいあなたはここにいる」。特に後者は、慈悲深い彼女のヴォーカルを存分に堪能でき、その余韻に浸りながら第一部は幕を閉じるのだった。 20分の休憩を挟み、白いラフな衣装をまとって彼女が再登場。第二部の幕開けは春をテーマにしたカヴァー・メドレー。松任谷由美「卒業写真」でスタートしたメドレーは、松田聖子からaiko、坂本冬美、オリヴィア・ニュートン・ジョン、コブクロまで、新旧春の名曲を織り交ぜつつ、なんと14曲23分をノンストップで披露。終始和やかに、そして春らしく華やかなパフォーマンスとなった。そして、「ノリピーになりきって」とおどけてから酒井法子に提供した「素顔の私を」をキュートにセルフ・カヴァーしてみせる。
そして「ここからはアニメソング・コーナー」と告げて、昨年リリースしたパチンコ機『超絶合体SRD』から「VON VOYAGE」がスタート。澄み切ったヴォーカルが疾走する爽快チューンのあとは、お待ちかねの「Z・刻をこえて」「風のノー・リプライ」と名曲を連発! 前者ではマシン・ドラムも加えて当時の音を再現し、後者では彼女のデビューとなった24年前の曲とは思えないほど、そしてあれから24年経過したとは思えないほど瑞々しく、若々しい彼女のヴォーカルが冴え渡り、ムーディーな会場もさすがに熱狂の渦に包まれた。そして、最後もアニメ『SDガンダムフォース』のOPテーマ「Love & Peace」で本編は締め括られた。
長きにわたるライヴはここに終演を迎えた。

すぐさまアンコールを催促する拍手に導かれてステージに戻ってきた彼女とバンドたちによって、「Don't Worry」がスタート。この時点で開演から3時間近く経過してるにも関わらず、声にひとつの陰りも見せず、それどころかますますパワーアップしているかのような熱唱を聴かせる。そして須藤を残してバンド・メンバーが去り、2人だけとなったステージ上で「鮎川麻弥にとって、とってもいい日でした」と言い、祖母との心温まるエピソードを披露して、最後の曲「「おやすみ」の微笑み」をピアノの伴奏のみでひっそりと歌い、心温まるヴァイブを残して MANDARAでは3度目となる鮎川麻弥のライヴ。繰り返し言わせてもらうが、ここでの彼女と観客との密接な距離感は決して会場の規模というだけのものではない。彼女のその確かなキャリアに裏打ちされた歌唱力、そして観客ひとりひとりに伝えるかのような豊かな表現力、そしてどこまでも楽しませようという気持ちが溢れた構成力と、すべてが高純度で達成されて初めてそれは成立するのだ。そして、終演後も会場出口で観客ひとりひとりと談笑する彼女の姿を見て、さらにその思いが強くなった次第。序盤の「いっしょに楽しい時間を作ってください」という彼女の言葉に心の底からの"イエス"を返したい、誰もがそう思ったに違いない圧巻のパフォーマンスだったのだ。
2008/4/22 アニ★ロコ
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