【デジフジcolumn】zakzak転載で考えたネットの重要性と「紙」の効率性

2009.09.10

 9月1日から、夕刊フジの大半の記事が公式サイト「zakzak」(ザクザク、http://www.zakzak.co.jp/)に転載されるようになった。当「デジタル@フジ」面の記事も、約5年ぶりにzakzakに掲載されるようになり、デジタル業界関係者から歓迎の声をいただいている。

 デジタル面の記事はこれまで、「夕刊フジBLOG」に転載していたが、ブログの一般化に伴い、開設当初の使命を終えたと判断。今年3月末に更新を終了した。そのため5カ月間、デジタル面の記事がネット上から消え、業界関係者や広告主から再開を望む声が相次いでいた。

 5カ月間、ネットへの転載を止めて痛感したのは、いまやネットに載っていない情報は存在しないに等しいという事実である。

 時間をかけて取材・執筆した記事も、新聞「紙」に載せただけでは読者数も限られ、大半が1日で忘れられてしまう。だが、ネットに転載した記事は「紙」の数倍から数十倍の人に読まれるうえ、一定期間はいつでも読み返せる。検索も容易だ。

 新聞記事をネットに転載することに対しては、「新聞社の経営を危うくする」との声や、「購読料を払う読者と無料でサイトの記事を読むネットユーザーの間に不公平感が生じるのではないか」との指摘がある。それでも記事はネットに転載するべきだというのが記者の考えだ。

 前述したように、ネットに載らない記事は最初から存在しなかったにも等しい。存在しない、とはどういうことか。たとえば新聞社の営業担当者が広告主に媒体をアピールしても、若い宣伝部員は「紙」ではなく「ネット」で記事を読んでいるから、ネットに記事が載っていない新聞の存在は知らない。自分が知らない媒体に広告を出せるわけがない。つまり、いまはネットに載せないことのほうが経営を危うくする可能性が高いのだ。

【一通り読む速さなら新聞】

 紙は有料、ネットは無料で、読者に不公平が生じるとの指摘については、「効率」という観点から答えたい。たとえば、ある日の夕刊フジの記事を1面から最終面まで一通り読むとする。「紙」の夕刊フジなら、ざっと目を通すのにせいぜい10分。じっくり読んでも1時間ほどだろう。だが、同じ量をzakzakで読むとすると、見出しをクリックしたり、場合によってはリンク先に寄り道したりして、1−2時間はあっという間に経つ。「紙」は「ネット」より圧倒的に効率が高いのだ。

 もっと俗な話をしよう。サラリーマンなら自分の年収から「時給」を弾き出すことができる。あなたの1時間の価値はいくらですか? それは夕刊フジの1部130円より安いですか? ということだ。

 積極的にネットに情報を上げるということと、有料・無料の違いを消費者にアピールすることは、一般企業にも重要な課題だと思う。せっかく良い商品を開発しても、ネット上でPRしなければ、その商品は無いも同然だ。ネットサービスは無料が“原則”だが、ユーザーが価値や効率性を見いだせる商品なら、その意義をきちんと説明して有料で販売する努力をするべきだろう。それが、好悪にかかわらず、ネットと共存しなければならない時代の私たちの生き方だと思う。(佐々木浩二)