【マンション業界の秘密】市場は「五輪後」見据えた展開へ 湾岸エリアは中国人富裕層が逃げ出す事態!?

いいことを聞かなくなってきたマンション市場(写真と本文は関係ありません)

 最近、いろいろな方面からよく質問されるのは「東京五輪まで不動産市場は上がり続けるのでしょうか」とか、「五輪の後には暴落がやってくるのでしょうか」という東京五輪がらみの内容。

 いつも答えは同じ。

 「五輪は基本的に関係ありません。あるとすれば心理的な影響だけです」

 なぜなら、五輪はマンションに対する需要を増やしたり減らしたりはしない。さらに言えば、会場が多く設定されることで資産価値の上昇が期待されている江東区の湾岸エリアもよく考えれば、都心に向かって1センチたりとも近づけることはできない。

 逆に、私は心理面でのマイナスの影響を心配している。4年に一度の祭典が終わってしまえば、東京には華やかな未来を予感させるイベントはほとんどない。

 2025年には東京都の人口が減り始める。30年ごろには世帯数も減少に転じる。一方、新築住宅は年々増え続けていく。つまり、需要と供給の関係をみれば緩くなるばかり。住宅の余剰感は年々高まっていくのだ。

 そんななかで「五輪が終わった」という熱い高揚感の後にくるけだるい脱力感が、不動産市場に対してどういう心理的な影響を及ぼすのかが懸念される。

 株も不動産も「将来値上がりする」という見通しを持てれば、どんどん買われる。不動産については、地域限定ではあるが13年ごろから16年半ばまで、買いの勢力がかなり優勢だった。

 特に新築マンション市場では、埋め立て地の荒涼とした街並みの中に突然そそり立つような登場感で売り出された某タワーマンションが、それまでの市場感覚を突き抜けた価格で売り出されたにもかかわらず、短期間で完売していた。

 不思議だった。「普通の日本人なら買わないだろう」と思える住環境。さぞ購入者に占める中国人比率が高いのだろうと予想していたところ、案の定、「上海まで売りにきていた」という話を後から聞いた。モデルルームでは販売員が「外国人比率は11%台です」と説明していたというが、本当にそうだったのか、とても信じられない。

 ともあれ、16年の半ばまでは中国人も割合、勢いよく東京の不動産を買っていた。特に埋め立て地のタワマン販売現場では、そのプレゼンスが際立っていた。

 今はそれが見られない。そのように買われた物件が中古市場で相当数売り出されている様子さえうかがえる。

 東京の中古マンション市場を眺めていると、とても「五輪までは上がり続ける」とは考えにくい。「将来値上がりする」という投機的な思惑で買われたマンションの中古価格が、本来の実力値にまで値下がりする暴落は、五輪後まで待ってくれるだろうか。

 誰もが「将来は値下がりする」と思うようになると、手持ちの株や不動産でも「売れるものは売る」という姿勢に変わる。すでに16年の後半から、そのような現象が一部でみられる。

 中古マンションの流通市場では五輪後を見据えた展開が始まりだしているのかもしれない。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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