【定年後 難民にならない生き方】老後資金はいくら必要か 60歳夫婦で2500万円あれば…

セカンドライフのために、定年後を考えておこう

 定年後の不安や“老後難民”を危惧する書籍やテレビ番組が増えている。心配を吹き飛ばすには、まず現実を知ることだ。この連載では老年学の研究者でもあるライター、島影真奈美氏が“定年後”入門者に向けて不安をひとつずつ解いていきます。

 老後資金はいくら必要なのか。「夫婦でゆとりある生活を送るなら1億円」とも、「貯金1000万円程度で十分」とも言われ、ずいぶん幅がある。結局のところ、どうすれば“老後破産”を避けられるのだろうか。

 「老後資金をできるだけ多く準備することも大切ですが、それ以上に重要なのが、収入の範囲内で過不足なく暮らす方法を探ることです」

 こうアドバイスするのは、家計再生コンサルタントの横山光昭氏だ。

 例えば、田中さん夫妻(いずれも60歳・仮名)の場合、定年時の貯蓄額は2000万円。夫は継続雇用、妻はパートで64歳まで働き、その間の世帯収入は月々24万円。65歳以降は厚生年金を夫婦で月額22万円受給する。

 現役時代の生活費は月額32万円。さらに固定資産税や冠婚葬祭費などの特別支出が年間50万円かかっている。定年後もこの生活費を続けると仮定すると、72歳の時点で貯蓄が底をつき、家計が破綻する。

 一方、定年を迎えた直後から、生活費を月額24万円まで圧縮できたとするとどうか。この場合、60~64歳の5年間で取り崩す貯蓄額はわずか250万円。年金生活スタート後も貯蓄から補填(ほてん)が必要なのは特別支出の年間50万円のみ。理論上は、60歳の時点で貯蓄が2000万円あれば、夫婦がともに97歳になるまで生活を維持できる。

 「もっとも、今回のシミュレーションは年をとっても元気に暮らしている人の例です。医療費や介護費、子どもや孫への援助、旅行代などを考慮すると、少なくとも2500万円程度は確保したいところです」(横山氏)

 日本経済団体連合会が今年6月に発表した「退職金・年金に関する実態調査結果」によると、定年退職金の相場は大学卒が約2374万円、高校卒が2047万円。この数字を見る限り、貯蓄が多少乏しくても、定年退職金でリカバリーできそうだが…。

 「平成25年就労条件総合調査結果の概況」(厚生労働省)によると、退職給付制度がある企業は75・5%。4社に1社は定年退職金が出ない点に留意したい。また、将来もらえる年金額も、年金制度への加入状況や収入によって異なる。

 まずは退職金と年金の見込額を確認するのが最優先だ。その上で将来不足しそうな金額を見積もり、補填策を練ることが、老後破産回避の最短ルートとなる。

 ■島影真奈美(しまかげ・まなみ) ライター/老年学研究者。1973年宮城県生まれ。シニアカルチャー、ビジネス、マネーなどの分野を中心に取材・執筆を行う傍ら、桜美林大学大学院老年学研究科に在籍。「ホテル業界の高齢者雇用」をテーマに論文執筆を進めている

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