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【図解で分かる「決算書」の仕組み】広告費多額計上で営業益、最終益マイナスの「マネーフォワード」 上場による知名度向上でひと皮むけるか

 本日は、フィンテック企業のマネーフォワードをピックアップする。29日に上場を控えている同社であるが、その実態はどうなっているのか。2016年12月~2017年5月期(上期)の決算書から読み解いてみよう。

 まず、貸借対照表=〔1〕=を見てみよう。資産に対する純資産の割合は約35%ある。過去の利益の蓄積である利益剰余金は大きなマイナスを抱えているが、株主からの資金調達額である資本金がそれを大きく上回っており、結果として安全性は問題ない水準になっている。

 次に、損益計算書=〔2〕=を見てみよう。営業利益が大きくマイナスになっており、最終利益もマイナスである。広告宣伝費が多額に計上されていることが主要因だ。設立以来、ずっとこの状況が続いている。短期的な利益確保よりも、将来に向けた宣伝活動を優先する同社の姿勢がうかがえる。その効果で、売上高は毎年倍々ゲームで増加している。

 最後にキャッシュ・フロー計算書=〔3〕=を見てみよう。本業でのキャッシュの稼ぎを示す営業C/Fもマイナスで、投資C/Fもマイナス。そして財務C/Fのみがプラスである。減り続けるキャッシュを、銀行借入で穴埋めしているのが実態だ。

 まだ成長途上の同社であるが、上場による知名度向上でひと皮むけるか。今後に期待したい。

 ■川口宏之(かわぐち・ひろゆき) 公認会計士、早稲田大大学院非常勤講師。1975年、栃木県出身。専修大経営学部卒。図を多用した会計に関するセミナーは会計の素人にも分かりやすいと評判。著書に『決算書を読む技術』(かんき出版)。

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