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【大前研一 大前研一のニュース時評】見当違いの「働き方改革」で遠のく賃金増 1人当たりの労働生産性がG7で最下位の日本 (1/2ページ)

 1日に第4次安倍晋三内閣が発足した。安倍首相は会見で、「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪とし、デフレ脱却に向けて税や予算などの政策を総動員する考えを示した。

 しかし、人づくり革命と生産性革命、デフレ脱却の3つは矛盾するものだ。いまの日本人の多くは、作業内容に一定のパターンがあってマニュアル化が可能な定型業務をしている。その定型業務の生産性を向上するためには通常、コンピューター化やロボット化が進むことになる。いままでの働き方しか知らない人たちは機械に仕事を奪われて、失業があふれることになる。

 人づくり革命としては、機械にできないまったく新しいことを産み出さなければならない。しかし、現在の大学や会社の教育制度では、そういうことを産むような人たちが出てくることはない。つまり教育革命なくしては生産性革命は単に失業を生むだけなのだ。その点を安倍政権が理解しているとは思えない。

 政府は「働き方改革」の目玉として、長時間労働を是正するための罰則付きの残業上限規制の導入を目指している。実現すれば、繁忙期を含めて1人当たり年720時間、月平均60時間が上限と規制される。早ければ2019年4月から施行される見通しだ。

 ただ、この夏に大和総研がまとめた試算によると、この働き方改革によって国民の所得が大きく減る可能性があるという。月60時間の規制が施行された場合、労働者全体で月3億8454万時間の残業が減る。これを年間の残業代に換算すると、最大で8兆5000億円に相当する。大和総研は、個人消費にとって逆風となりかねない、と指摘している。

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