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【こんな時代のヒット力】“地味すぎる”覚悟の自虐広告で大ヒット 中公新書「応仁の乱」 (1/2ページ)

 「先の大戦(おおいくさ)、知らへんの。関西にいはるのに? 地味すぎる大乱」

 こんな奇抜な新書の新聞広告が全国紙の関西版に出たのは、2016年12月。アカデミックで知られる中公新書(中央公論新社・東京都千代田区)だけに、なおさら目を引いた。

 該当の広告は呉座(ござ)勇一著『応仁の乱』のもの。「先の火事は 蛤御門の変(1864)、前の戦争は 応仁の乱(1467~1477)」という京都のネタをもじった自虐的なコピーに反響は大きく、宣伝部のツイッターアカウントにリツイートが殺到、SNS上で評判となった。さらに新聞、テレビも注目した。

 仕掛けた同社事業戦略局宣伝課、東山健氏は、「売り上げは上々で、同年11月下旬、さらに伸ばそうと打った広告だが、実は怒られるのではないかとヒヤヒヤだった」という。「関西人ならシャレが分かる」と著者・編集担当を説得しての広告だった。

 地味といわれる「応仁の乱」は、室町幕府の将軍家や幕府諸勢力の内乱である。11年間にわたり日本中を東西に分けて争い、京は焼け野原となった。戦国時代の始まりの一つともいわれる(異説もあり)。しかし、知名度が高い割に、目立った英雄がいない、参加した大名が多すぎた、経過が複雑すぎる、勝者も敗者もはっきりないグダグダな戦だった…などから、不人気なテーマだった。

 同書『応仁の乱』はその歴史認識に果敢に挑んだものだが、決して読みやすい本ではない。当初、「2、3万部いけばいい。その代わり何年経っても読まれる本にしたい。だから真面目に」と手がけた編集部は、遊び心のある広告にけんか腰。それに対し、東山氏は、「先生が怒ったら自分が謝りに行く」と説得した。

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