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【榊淳司 マンション業界の秘密】インフレ誘導策で都心不動産はバブル状態 リフレにこだわり続ける日銀・黒田氏、今や時代遅れだが… (2/2ページ)

 ところが、ほとんどの人には買いたいものがない。車を持っている人は7年か9年ごとにしか買い替えない。自宅にはテレビもパソコンもエアコンもある。

 次に、日本全体のお金が増えていても、一般消費者の懐は依然と同じ。公共料金や消費税などが上がっているせいで、むしろ可処分所得は減っている。だから、お金を使いたくても使えない。

 では、黒田総裁が増やしたお金はどこにあるのか。そのほとんどは銀行の資産として眠っている。国債を買おうにも、日銀に強制的に買い上げられてしまう。企業への融資も伸びない。

 ただ1つ、黒田総裁のインフレ誘導策が成功した分野がある。それは都心や一部地域の不動産だ。彼の異次元金融緩和が始まって以来、都心の不動産市場は2%どころか、軽く40%は値上がりした。まさに局地バブル状態になったのだ。

 お金を増やしても一般消費が伸びないことを見抜いたFRB前議長のベン・バーナンキ氏は「現金をヘリコプターに積んで空からまけばいい」と唱えた。だから、彼の異名は「ヘリコプター・ベン」。

 一方、バーナンキ氏の前職同業者ともいうべき黒田氏は、ヘリコプターマネー論にくみしない。今や時代遅れとなりつつあるリフレにこだわり続けている。彼は「ヘリコプター・ハル」にはなれそうにない。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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