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【人生二毛作】大手家電のエリート街道捨て廃業寸前の表具店再建 日本の伝統文化を世界に発信 (1/2ページ)

 以前この欄で、家業の燃料卸問屋をたたんで彫刻家になり、東京・巣鴨のギャラリーで個展を開いた人を紹介したが、ふすまや掛け軸、屏風(びょうぶ)などを扱う表具店「マスミ東京」の社長、横尾靖さん(61)は、会社勤めから家業に入った。最先端のメーカーから伝統産業へと、180度異なる分野への転身である。彫刻家が個展会場に選んだマスミギャラリーのオーナーだ。

 都内の大学を卒業後、大手電機メーカー、NECに入社。海外事業グループに籍を置き、アフリカを担当。パラボラアンテナ、電話交換機、放送設備などの通信インフラ整備の仕事に携わった。ケニアの放送網を160億円かけて整備するプロジェクトの受注に成功し、社長賞を受賞。最年少で主任、主席駐在員、課長へとスピード出世を果たした。

 妻の実家はもともとふすまの製造メーカー。後継者がいないため廃業寸前だった。「日本文化を担う店がなくなるのはもったいない」と、36歳の時に退職し家業を継いだ。

 思い切った決断である。ふすまや障子の需要は減少の一途をたどっている。いわばエリートの道を捨て、斜陽産業に飛び込んでいくようなものではないか。活路は見いだせるのか。

 海外駐在の経験がある元営業マンらしいところだが、横尾さんは海外に販路を求めた。全国の和紙の見本帳を作り、欧米の美術館や博物館関係者に会ったのが功を奏した。

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