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【新・兜町INSIDE】黒田総裁退任説にも市場は無風、背景に安倍首相の「金融引き締めアレルギー」

 今年4月で任期切れを迎える黒田東彦(はるひこ)日銀総裁について前週、金融市場の一部で「首相官邸サイドからの続投要請を黒田氏が断った」との噂が流れた。ただ、株価や為替などへの影響はほとんどなく、金融緩和状態の長期化観測は揺らいでいない。

 背景には、安倍晋三首相の「金融引き締めアレルギー」がある。民主党からの政権奪還構想にも「大胆な金融緩和」を盛り込んでいた安倍氏だが、これには小泉内閣の官房長官時代の苦い経験が指摘される。

 2006年3月に福井敏彦総裁がゼロ金利政策を解除した際、安倍氏は政権中枢部で解除に最も強く反対したが、最終的に解除容認派に押し切られた。結果としてその後の日本経済は深刻なデフレに見舞われてしまった。このため安倍氏は日銀が「金利正常化」を急げば、力ずくで阻止する公算が大きいだろう。

 黒田氏退任説にも動じない金融市場は「誰が次期総裁に就任しても、安倍首相は日銀の『勇み足』を絶対に許さない」との信頼感を示している。

 【2018年1月31日発行紙面から】

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