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【田村秀男 お金は知っている】「為替条項」は日米通商を壊す 粘り強くトランプ政権を説得すべき (1/2ページ)

 【お金は知っている】

 先週の日米首脳会談で両国は、通商問題についての新しい対話開始で合意した。トランプ政権側の狙いは為替条項付きの日米自由貿易協定(FTA)の締結にある。為替条項によって、日本側は通貨・金融政策で大きな制約を受けるばかりではない。2国間の貿易不均衡を是正できないし、日本経済を停滞させかねない。

 まずはグラフを見よう。日米の貿易収支を円ベースの日本側統計とドルベースの米側統計の両面で追い、円の対ドル相場と対比させている。対米黒字のトレンドは円ベースとドルベースではかなり違う。黒字額は円ベースの場合、円安に連動して黒字が増え、円高とともに減る。その点では、米側の主張通り、為替条項は不均衡是正には有効と見えるが、虚像である。

 トランプ政権が目指す貿易赤字の縮小は、もちろん米側統計のドルベースのほうである。ドルベースの対米黒字は円ドル相場に反応しないのだ。

 統計学でいう円ドル相場とドルベースの貿易黒字の相関係数(完全な相関関係は1)は0・1と相関関係はなきに等しい。円ベースの場合、為替相場との相関係数は0・86と極めて高い。

 円高ドル安になっても、逆に円安ドル高でも対日赤字水準はほとんど変わらない。円高ドル安でも米国にとって対日赤字は減らないのだ。

 円ベースで動く日本経済のほうは、円ドル相場に翻弄される。1ドル=80円未満の超円高だった2012年前半、日本の対米黒字は年間4兆円台だったが、同年末のアベノミクス開始後の円安傾向とともに円ベースの黒字額は膨らみ、14年以降は6兆~7兆円台に達した。この黒字増加額は国内総生産(GDP)の0・4~0・6%に相当する。

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