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【こんな時代のヒット力】高くても使えば分かる…画期的な「たわし」 キクロン「キクロンA」 (1/2ページ)

 低価格志向の時代。台所用品となれば、なおさらである。そんななか、量販店の同タイプ商品に比べて1個200円(参考価格)と高価格ながら、累計7億3000万個の大ヒット商品がある。1960(昭和35)年発売、キクロン(和歌山市)のスポンジたわし「キクロンA」だ。

 和歌山県はヤシ科の植物であるシュロが豊富で、シュロたわしの一大産地だった。48年創業の同社も、シュロたわし製造から始まっている。しかし、シュロたわしはオリジナル性に乏しく、創業者の児玉勲氏は特徴のある商品を求めていた。

 56年、日本で初めての食器洗い専用の台所用洗剤が発売されると、泡立ちの良さからスポンジが売れるようになる。しかし、スポンジだけだと焦げ付きが落ちにくいという欠点があった。

 児玉氏は、偶然見たナイロン不織布(ナイロン繊維を織らずにシート状に押し固めた研磨資材)をスポンジと貼り合わせるアイデアを思いつく。だが、スポンジのポリウレタンとたわしのナイロンは接着が難しい組み合わせ。試行錯誤を繰り返し、特殊な接着剤と接着法を生み出して貼り付けることに成功した。世界初の、「スポンジ面で洗い、がんこな汚れはナイロン不織布面で磨く」という2つの機能を持った「貼り合わせスポンジたわし」の誕生だ。

 しかし、画期的な商品のはずが売れにくい。理由は価格にあった。当時30円のシュロたわしに対し、キクロンAは90円という破格の値段だった。

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