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【田村秀男 お金は知っている】幹部は出身国に忠誠も…“卒業論”麻生財務相に背を向けるADB総裁 (1/2ページ)

 かなり前のことだが、フィリピン・マニラで開かれたアジア開発銀行(ADB)総会に合わせた中国の大手銀行主催のパーティーで同行幹部と会話していた。

 突然会場が緊張に包まれた。幹部も血相を変えて、一目散に会場入り口に駆けていった。他の中国金融関係者たちも我先に、である。とある中国共産党の長老夫人がお出ましになったのだ。それだけの理由で、パーティーの賓客そっちのけとは、と噴飯ものだが、中国金融とは何事も党内の実力者の序列次第で決まるのだ。

 それが軍隊式のビジネス・スタイルである。融資先が格下だと見ると、命令口調で勝手な条件を押し付ける。反対に相手から融資を引き出そうとすると、徹底的に平身低頭、相手にへりくだり、接待攻勢をかける。

 日本のエリートたちは中国式にからきし弱い。側聞するところ、いとも簡単に中国にとりこまれるのは日本の国際派財務官僚のようだ。と、思っていたら、財務省はADBによる対中融資の事実上の打ち切りに動き始めた。麻生太郎財務相と浅川雅嗣財務官のコンビで中国に対して、ADB融資先国からの「卒業」を促すというのだ。

 実は、本欄では5年前から、ADBの対中融資に異議をはさんできた。習近平政権が当時、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立に向け走り出したのだが、業態はADBと重なる。アジアのインフラ資金需要に対応するためというのが正当化の口実だが、インフラ資金が足りないというなら、ADBは最大の貸し手である中国への新規融資を打ち切って、貸した分の早期全額返済させ、それを中国以外のインフラ資金需要に充当するのがスジというものだ。

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