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【大前研一 大前研一のニュース時評】「空き家問題」解決へ「民泊」加速を リフォームと法整備で経済効果 (1/2ページ)

 茨城県日立市と地元の茨城大学工学部が連携して、市内の古い空き家を学生向けのシェアハウスに改修した。このプロジェクトは大学側が市に提案、市は200万円の予算を計上して費用を補助した。

 学生が物件を探し、所有者の同意を得て、築45年の木造2階建ての家を建築業者の指導の下、リフォームした。この春から男子学生が生活を始めている。市は人口減少で増加する空き家対策の糸口になり、学生は1万円以下の低賃料で住める。

 日立製作所などの工場が並ぶ同市は、高度経済成長期に住んだ人たちが高齢化して空き家も増加、現在では市内だけで3000戸近い空き家がある。これは小さいニュースだが、こうした動きをもっと全国的に広げる必要があると思う。全国の空き家数はすでに1000万戸を超え、2030年代には2000万戸になると予測されている。

 「空き家問題」は日本人の新築志向も影響している。国土交通省の「既存住宅シェアの国際比較」によると、住宅流通量の中で中古住宅は米国、英国とも90%近いのに、日本はわずか15%前後だ。また、住宅投資に占めるリフォームの割合はフランスが73%、ドイツ55%、英国53%なのに対し、日本は28%だ。住宅投資した家にそのままずっと住み続ける割合が高い。

 英仏では200年前の古い家を購入してリフォームし、そこに何年か住んだ後、また別の中古住宅に移転してリフォームする。日本ではそうした習慣がないので、いつか空き家になって朽ち果ててしまうのだ。

 訪日外国人が年間3000万人の時代なのに、欧州諸国に比べて日本は宿泊施設が圧倒的に足りない。これを解決するには空き家を利用し、有料で宿泊させる「民泊」を加速させなければならない。世界で一番、宿が不足しているのに、日本はほとんど民泊を生かしていない。

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