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【榊淳司 マンション業界の秘密】「米中冷戦」がもたらす日本不動産への影響 (2/2ページ)

 海外に資産を持つ中国人たちは新たに自国から外貨を持ちだせなくなる。いま海外にある外貨資産を運用するしかなくなるのだ。

 彼らが15年から16年にかけて盛んに購入していた都心や湾岸のタワマンは、すでに海外に存在する外貨資産だ。しかも、それらは年間にして購入価格の1%程度の維持費がかかるにもかかわらず、4%台の運用利益しかもたらさない。そして、徐々にではあるが資産価値が目減りしている。

 日本は人口減少と少子高齢化で、今後の経済成長がほとんど期待できない国だ。経済成長しない国の不動産は値上がりしない。逆に値下がりの恐れがある。

 彼らがそういう現実を理解した時、どういう行動にでるのか。答えは1つだ。より有利な投資先への転用。世界を見渡せば、今後経済が成長しそうなエリアはいくつかある。中国人には親和性のある東南アジアの国々も、そういった中に含まれる。

 建物が完成して数年が経過している都心や湾岸のタワマンには、空室が目立つ。そういう住戸はすでに売り出されているか、今後売却される可能性が高い。

 日本は今、ひたひたと五輪開催への道を進んでいる。足元のマンション市場で何が起こっているのか、今ひとつ分かりにくい。しかし、流通市場での売り出し物件の増加は、今後の可視的な相場下落を示している。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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