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【バフェットの次を行く投資術】ギャンブルから生まれた「確率論」は最重要

 バフェットが「投資にデルタやシータなどの高等数学は必要ない。足し算・引き算・掛け算・割り算ができれば十分である。もしそうでなかったら、私は今でも新聞配達をしていただろう」と述べているのは有名である。金融工学やコンピューター・トレーディングなどというものは、投資家をだます詐欺行為だという意味と読める。

 しかし、「確率」の概念は極めて重要であり、バフェット自身がその「概念」をフルに活用しているだけでなく、バークシャー・ハサウェイも「逆ギャンブル」ともいうべき、確率を駆使した(損害)保険ビジネスで多大な利益を上げている。

 学校で学んだ数学を振り返れば、「確率論」は付け足し程度であったはずである。ピタゴラスなどの偉大なギリシャ文化に起源を持つ、「定理・公式」が授業の中心だったはずだが、それは確率という概念が歴史的に言えばごく最近生まれたからだ。

 確率論を体系化したのは、1501年生まれのイタリア人、ジェロラモ・カルダーノだが、彼は数学者であるとともにギャンブラーだった。ギャンブルの実践から生まれたのが「確率論」であるため、数学界の反応は冷たいが、逆に投資家にとってこれほど重要なものはない。

 例えば、カード・カウンティングは、切られたカードをすべて暗記し、残りのカードの中からある札が出る確率を計算するプレーで、(長い目で見れば)ほぼ確実にギャンブラーが勝ち、カジノが負ける。違法ではないのに彼らはカジノから追い出されるが、株式市場では、投資家はいくら儲けても追い出される心配はない。

 また、ベルカーブ(標準偏差)は、平たく言えば模擬テストなどの「偏差値」のことであり、コンピューター・トレードのほとんどはこの理論を応用しているが、実際の市場でこの理論を活用すると失敗する。リーマン・ショックのように、標準偏差からかい離することは珍しくないのだ。(人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩)=敬称略

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