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それでも日本企業が「内部留保」をため込む理由 「保身」に走る経営者たち (2/4ページ)

 そんな中で、甘利氏が打ち出したのが内部留保を投資につなげるための優遇措置だった。内部留保を巡る税制の考え方には、内部留保に課税することで、内部留保を抑制させるべきだという「北風政策」と、甘利氏のように税制優遇で投資を促進させようという「太陽政策」がある。太陽政策にはそのための財源が必要になることから、財務省は基本的に反対にまわる。

 甘利氏はその後の講演で、「安倍晋三首相から企業の合併・買収(M&A)の税制を進めてほしいと言われている」と、企業に内部留保を吐き出させることが首相の意向であることを明かしている。財務大臣を兼ねる麻生太郎副総理は記者会見で、税調の議論について、「内容を見守っていきたい」と慎重姿勢を見せたが、一方で内部留保については「賃金、設備投資などにもっと振り向けられて然るべきかな、とは思います」とも述べている。

 ◆再投資せずに「保身」続ける経営者

 実は、財務省も企業が投資にカネを回さず、内部留保を増やしていることを問題視してきた。12年頃には省内の中堅官僚を集めた勉強会で、日本が成長しない原因は何かを議論し、グローバル化に乗り遅れたことと並んで、企業が再投資せずに内部留保を増やしていることに原因があるという結論を導き出していた。

 ところが、安倍内閣は企業の国際競争力を維持するためとして、法人税率の引き下げを行ったため、企業の税引き後利益が大きく増える結果になった。問題とされた内部留保はそれ以降も増加ピッチを早めたのだ。

 増え続ける内部留保には課税すべきだ、という内部留保課税論議もある。特に15年ごろには、海外ファンドが積極的に官邸周辺の議員に対して、内部留保課税の導入を勧めていた。中長期的には、企業に溜(た)まっている資金が投資として外部に出ることで、日本の成長に弾みがつく、という説明だったが、投資ファンドの中には、短期的な株価上昇に結び付くとみているところもあったに違いない。

ITmedia ビジネスオンライン

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