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それでも日本企業が「内部留保」をため込む理由 「保身」に走る経営者たち (3/4ページ)

 財務省の中でも議論されたが、「課税は難しい」というのが大方の結論だった。これは今も変わらない。内部留保は企業が税引き後の利益を蓄えたもので、そこに課税すれば「二重課税」になる。当然、経済界は大反対だ。自民党内には山本幸三・衆議院議員のように、「課税すべきだ」と明言する議員もいるが、あくまで少数派である。

 かといって、甘利氏が持ち出した投資減税にも財務省は反対だ。これまでも数多くの投資に対する税制優遇を行っているが、効果を上げていない。前述の通り、財源をどこかから持ってこなければいけないが、それも難しい。

 法人税率を国際水準にまで引き下げる時の安倍内閣の論理は、一方でコーポレートガバナンスを強化し、企業にROE(資本利益率)を高めさせて稼ぎを大きくした上で、賃金や配当を増やさせるというものだった。パイを大きくし、その分配を増やすことで、ステークホルダーが豊かになることを想定していた。

 安倍首相が一方で、「経済の好循環」を繰り返し掲げ、財界首脳に賃上げを要請し続けてきたのは、そうした大きな流れの一環とみることもできる。

 企業が内部留保を貯(た)め続ける行動を取るのはなぜだろうか。

 大きいのは経営者の「保身」である。投資をして失敗すれば責任問題になるが、何もしないで業績が伸びないのなら、経済環境のせいにできる。特にバブル崩壊後の20年間、伝統的な大企業では「縮小均衡」を目指す経営者が多かった。リスクを取って事業を拡大するよりも、合理化や経費削減で均衡を目指す。そうした人材が評価され、偉くなっていった。リスクを取ったやり手の営業マンなどは、失敗の責任を問われてどんどん外されていった。それがデフレ時代の日本の大企業の姿だったと言っても良いだろう。

 ◆日産の西川社長解任の裏で起こっていたこと

 その結果どうなったか。リスクを取らない人物が社長となり、投資よりも内部留保に資金を溜め込んでいった。463兆円の内部留保(利益剰余金)と言っても、それは建物や設備に回っていて、金庫にお金が眠っているわけではない、という主張も経済界にはある。それはその通りだ。だが、統計を見る限り、463兆円の半分が現預金として企業にもたれている。

ITmedia ビジネスオンライン

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