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【こんな時代のヒット力】たっぷりの餡を薄い生地でくるんで油で揚げ…ズッシリ180グラム! 秋田の新名物、県外で評判になり活路 山口製菓店「アンドーナツ」 (1/2ページ)

 秋田の新名物「アンドーナツ」(山口製菓店・秋田県大館市)をご存じだろうか? たっぷりの餡を薄い生地でくるんで油で揚げ、ずっしり180グラム、手のひら位の大きさだ。見た目ほどの油っこさはなく、逆に油が餡の味を引き立て、餡好きにはたまらない。物産展だけではなく、大都市のスーパーにも並ぶ人気だ。しかし、生産量が1日に5000個と少なく、「幻のアンドーナツ」と呼ばれている。

 同社のアンドーナツは半世紀程前、先代社長が東京の和菓子店で修業、その後帰郷し創業したことに始まる。当時から地元では人気商品「油パン」の愛称で親しまれてきた。

 レシピは当時のまま、冷凍生地は使わず、前日の夜に生地を仕込み、製造当日にこねた生地と合わせる。餡はすべて自社製。包餡は一部過程を除き、数人の職人による手作り。理由は、「機械で包むと、生地が破れないようにどうしても厚くなる」(山口嘉則社長)からだ。生地の薄さは、手で包む手間にこだわることで生まれていた。餡の量が生地の倍あり、油がしみこまないため食後にくどさが残らない。これが同社のアンドーナツの特徴だ。

 転機は20年ほど前、皮肉なことに廃業の危機がきっかけだった。当時、発売以来の取引先だった地元の商店、スーパーが、後継者問題から次々と廃業。全国チェーンの大型ショッピングセンターの進出が、苦境に拍車をかけた。販路を失い売り上げは低迷、同社も廃業に迫られていた。

 「廃業されては、帰る故郷がなくなる」と、東京にいた山口氏は大館市に帰り、会社を継いだ。とはいえズバ抜けた営業力があるわけではない。県外の市場に出ることを決め、まず始めたのは、ホームページを立ち上げ通販で全国に発送することだった。だが、注文が来ない。

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