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【こんな時代のヒット力】概念を変えた安全で美味しい“日常食” 黒潮町缶詰製作所「防災備蓄用缶詰」 (1/2ページ)

 小さな町の缶詰が売れている。高知県の西に位置する人口1万2000人の黒潮町。町が出資した第3セクターの黒潮町缶詰製作所が作る、防災備蓄缶詰である。

 黒潮町は太平洋に面し、カツオのタタキで有名なカツオ一本釣りが盛んな漁業の町。品目は「カツオの和だし生姜煮こごり風」「柚子香るブリトロ大根」など6種にも上る。

 新鮮な地元産食材にこだわり、卵、牛乳、小麦、ソバ、落花生、エビ、カニの7大アレルゲンを使わず食物アレルギーに対応したオリジナル商品だ。「非常食なのに美味しい」と大好評だ。

 開発のきっかけは、2012年、南海トラフ大地震の新想定で34・4メートルという日本一の津波高が発表されたことだった。津波リスクを嫌って町に住むことを止める「震災前過疎」と、最初から避難をしない「避難放棄」という2つの“あきらめ”で、町は大混乱となった。

 「町を出る人が急増、死亡により減る人口を上回った」(黒潮町缶詰製作所取締役、武政祐久氏)

 従来から続く人口減少と流出、それに輪をかけて震災前過疎対策の必要に迫られた。

 産学官連携のプロジェクトチームで会議を重ねる中、日本一厳しい想定を逆手に取って、「防災の町」を売りに防災関連産業を興し、町内に雇用の場を創出することが決まる。町民の間に、「不幸を嘆くのではなく、日本で一番防災に詳しい町になる」という意識が生まれたのだ。

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