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【こんな時代のヒット力】逆転の発想で売り上げ10倍! 鋳物メーカー・能作「錫婚式」 (1/2ページ)

 こんな時代に売り上げ右肩上がり、20年で10倍にした中小企業がある。富山県高岡市の「能作(のうさく)」。創業104年になる鋳物メーカーだ。

 高岡市は銅器の全国シェア約95%。400年を超える歴史があり、市内に多くの工房が軒を連ねる鋳物の町である。鋳物は、問屋の指示を受け工程ごとに分業する。

 能作は銅と亜鉛の合金、真鍮(しんちゅう)の鋳造を得意とし、色づけ前の製品を作り次の工程へ渡す下請け工場だ。「このままでは先がないことは、分かっていた」と、専務の能作千春氏は振り返る。

 バブル崩壊後の経済低迷、生活環境の変化が影響し、仏具や花器などの需要がなくなり、高岡市の鋳物産業は全盛期の3分の1以下、120億円を切っていた。そんな中、能作は下請けから脱却、世界進出を掲げ、自社ブランドの商品作りに挑んだ。2002年のことである。

 選んだのは鋳造技術を生かした、スズ100%の食器。スズは抗菌性が高く、材質もやわらかいという特徴を持つ。一方でやわらか過ぎて扱いづらいため、大阪錫器や薩摩錫器など伝統産業では、ピューターと呼ばれる錫の合金を使用する。だが、「他のまねはしない。世界に類のない、スズ100%の食器を作ると決めた」(能作氏)。

 まずやわらかい、曲がりやすいという欠点を克服することに取り組む。苦労の連続だったが、デザイナーの「曲がるなら曲げてしまえ」との一言から逆転の発想が浮かんだ。スズをあえて曲げ、また曲がることを売りにし、斬新、デザイン性に優れた食器が誕生した。現在、スズ製品は売り上げの8割を占めるまでに成長。海外における評価も高い。

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