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【田村秀男 お金は知っている】「具」が満載のスガノミクスは美味しい? 菅首相の所信表明演説で思い出したあるテレビCM (1/2ページ)

 菅義偉首相の国会での所信表明演説を聞いて、即座に思い出した。一昔前に米国に駐在していた頃、現地の新興ハンバーグ・チェーンのテレビ・コマーシャルが消費者を大いに惹(ひ)きつけていたことだ。「Where’S the beef?(ビーフはどこにあるの)」というキャッチフレーズである。見かけはよくても、肝心の中身はあるのかよ、当店にはあるぞ、いらっしゃい、である。

 「スガノミクス」は具体的な中身を示す。新型コロナウイルスでリモートワークが増え、デジタル利用の普及に取り組むためにデジタル庁を新設、役所手続きの押印をなくす。来年3月から保険証とマイナンバーカードの一体化を始め、運転免許証のデジタル化も進める。携帯サービス会社に携帯料金を引き下げさせる。地方の所得を増やし、消費を活性化するため、最低賃金の全国的な引き上げに踏み切る。少子化対策として所得制限を撤廃し、不妊治療への保険適用を早急に実現する。2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロを目指す。

 まさに「ビーフ」満載だ。菅さんは「雪深い秋田の農家に生まれ、地縁、血縁のない横浜で、まさにゼロからのスタートで、政治の世界に飛び込みました」(所信表明演説)と、自他共に認めるたたき上げの政治家だ。政策効果がいま一つ判然としないマクロの財政や金融政策よりも、目標がすぐ目に見えるミクロ、あるいは個別の「具」を重視するのは、現場で苦労を重ねてきた政治家ならではの庶民感覚なのだろう。

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