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【大前研一 大前研一のニュース時評】米国vs豪州、日本を舞台に牛肉戦争 輸入量増えている米国産、豪州は巻き返しに必死 (1/2ページ)

 今月初めの日経新聞に「牛肉輸入、米国産にシフト」と題する記事があった。新型コロナウイルス禍で牛肉の輸入量が低調な中、米国からの輸入量は増えているというものだ。今年1月に発効した「日米貿易協定」で、輸入関税率が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の水準まで下がり、関税差で生じていたほかの国の割安感が薄まったからだという。

 財務省の貿易統計によると、今年の4~9月の牛肉の総輸入量は31万4000トンと前年同期より4・8%少なかった。その中で米国は4・4%増、豪州は12・9%減だった。輸入シェアも米国が42・7%になり、首位の豪州の43・4%に肉薄している。

 2003年にBSE(牛海綿状脳症)が発生して、米国から牛肉が輸入できなくなったとき、その分を豪州が肩代わりし、それ以降、米国は豪州にシェア首位の座を奪われている。約20年ぶりとなるシェア首位奪還に向け、最近はドナルド・トランプ大統領のゴリ押しもあった。

 一方、豪州は、新型コロナの発生源の調査を求めた件や香港問題などを巡って中国との関係が悪化し、中国は豪産食肉の輸入を一部停止してブラジル産に切り替えている。両国の対立は、経済分野から人権や報道の自由、安全保障にも広がり、牛肉問題もそう簡単には解決しない状況だ。

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