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【田村秀男 お金は知っている】不気味な日米のマイナス実質金利差拡大 バイデン政権になれば“超円高”の悪夢も (2/2ページ)

 そして、実質金利差は昨年後半から縮小に転じ、今年1月にマイナスに落ち込み、6月からはマイナス幅が拡大し続けている。外国為替市場はそれでもなだらかな円高での推移にとどまっているが、もはや危険水域に突入したのも同然だ。来年に入ってさらにマイナス実質金利差が広がり続けるようだと、円高が加速しかねない。

 実質金利差がなぜ為替相場をかくも大きく撹乱(かくらん)するか、学術的に証明できるわけではない。理屈としては、通貨の価値はその通貨建ての金融資産を代表する国債金利とインフレ率に左右されるのだから、実質金利が高い通貨が選好され、低い通貨は売られる、というものだが、それは金融市場参加者の大方の見方がそうだからそうなる、としか言いようがない。

 米国の民主党政権といえば、長年米国の現場取材を重ねてきた筆者の記憶からすれば、政権発足時は円高ドル安になりやすい。1993年スタートのクリントン政権は通商での「日本叩き」のために政府高官が口先介入で円高をあおった。2009年からのオバマ政権は対日政策上、円高を促進しようとはしなかったが、米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅な量的緩和政策に伴うドル安を容認し、リーマン不況の克服に努めた。

 当時の白川方明(まさあき)日銀総裁は金融緩和よりも引き締めを選ぶ、という具合で、円高ドル安を放置した。黒田東彦(はるひこ)現総裁は緩和に積極的だが、規模はFRBにはるか及ばない。

 菅さん、金融政策にも気をつけたほうがよい。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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