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【榊淳司 マンション業界の秘密】2021年も市場は低迷スタート コロナワクチンの効果次第も逆風緩和がやっとの丑年 (2/2ページ)

 新規の売り出し価格は全体的に見て、そんなに下がらないとみる。というのも21年に新たに市場参入する物件は、コロナ以前に土地が仕込まれている。強気な挑戦が行われていた時期だった。

 最近、一部の大手財閥系デベロッパーの価格政策がやや弱気に転じた。無理目ではなく、いかにも売れそうな水準が増えた。おそらく、自社の利益を削ってでも早めに売り切ってしまおうということなのだろう。

 コロナ禍によって大半のサラリーマンの所得は減少した。今年の秋から「19年の所得水準で住宅ローンを組みたい」というちょっと危険な駆け込み需要が急増したのは、「今しかない」という心理が働いている。来年になって、今年の所得水準で買おうとしても、住宅ローンの借入額が下がってしまうからだ。だから、この需要は長くは続かない。

 日本でもワクチン接種が本格化し、人々の間に明るいムードが漂えば、マンション市場に吹く逆風も緩和される。

 新たな住まいのカタチとしてテレワーク対応などに配慮された「コロナ後企画」の物件も増えているかもしれない。

 景気回復が見えれば、今は止まっている都心の高額物件も動き出すが、2~3年は無理というのが多くの声だ。

 丑年の来年は、逆風が緩和される程度の1年というのが妥当なところだろう。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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