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【こんな時代のヒット力】類書にない通な人物にフォーカス 歴史キッズの興味を喚起 ポプラ社「コミック版日本の歴史」 (2/2ページ)

 しかし、21冊目に真田幸村の企画時には、編集部内で議論があった。それまでの人選は、いずれも教科書でもよく知られた人物。大ヒットした大河ドラマ「真田丸」(16年)放送のはるか前のこと、子供にとって馴染みが薄い。「当初、受け入れられるのかという危惧はあったと思います」(同・鍋島佐知子さん)。しかし、「意外に売れたことで人選の幅が広がり、以後への弾みとなった」。

 そこから島津義弘や藤堂高虎、立花宗茂など、類書にはない通な戦国武将たちをラインアップ。歴史は立場が変われば全く違う見え方をする。名前しか知らない武将たちの人生が、逆に歴史キッズの興味を喚起する。関ヶ原の戦いを、東軍西軍の各武将の視点で多角的にとらえることができるのも、同シリーズの魅力だ。「昨年までの既刊74タイトルは全て重版出来。累計260万冊」だと、チーフの大塚訓章(くにあき)さん。「漫画は面白いが第一。さらにその人物の良いことも悪いことも全部取りあげる」。さらに「子供が読むからこそ、時代考証は徹底的に」が当初から守る編集方針だ。

 12年がたち、刊行当初より子供たちの歴史に対する知識量が豊富になった実感がある。「〇頁でこの武将が使っている家紋は、この時期のものではない」と指摘を受けたこともあるという。同シリーズが育む歴史キッズが、頼もしい。(村上信夫)

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