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【こんな時代のヒット力】塚田農場「おうち塚田農場」 地鶏の増減産どちらにしても半年…コロナで生まれた「家庭用に売る」発想 (2/2ページ)

 実は、EC事業は不採算事業として閉鎖したばかりだった。ところが偶然にも、契約上の理由でサイトの権利は残っていたのだ。

 まず、SNSを通じて知人に「鶏が余っています、助けて!」と呼び掛けることから始めた。手探りだった。ラインアップは「みやざき地頭鶏炭火焼」「みやざき地頭鶏味つけカット済み」など14種。これが予想を超える大反響となる。

 だが、急ごしらえのため、オペレーションが追い付かない。日に数件だった発送業務もいきなり数百件になり、大混乱となった。売れた分だけ発送することになるわけで「一日中、怒濤(どとう)のやり取りだった」(吉本さん)。移動自粛のため応援を送り込むこともできず、地元の生産者が応援に駆け付け、しのいだ。その結果、何もしなければ在庫となったはずが、1カ月で地鶏3500羽分が売れた。塚田農場100店舗の1カ月分の消費の15%に当たる。

 コロナ禍のおうち需要があったとはいえ、なぜ不採算事業だったECが成功したのか。吉本さんはコロナ前について、「店で温かく美味しい地鶏を食べてもらうことに注力していた」と、店舗重視だったと分析。そのため、地鶏を家庭用に売る発想はなく、味噌や加工食品が中心だった。

 その発想を転換し、現在は地鶏のほか、自社ブランドの鴨や魚介商品も投入し、食材宅配サービスでの扱いも始めた。店舗のメニューを開発するスタッフも投入し、店の味を徹底的に再現している。「ECの成功体験が、他の軸へ広げる励みになった」と、吉本さんはいう。(村上信夫)

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