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【田村秀男 お金は知っている】アリババグループ創業者・馬氏は習政権に抗う「英雄」か 米国を油断させる「英雄演技」をしている可能性も (2/2ページ)

 米国から伝わってきたニュースでは、「米当局者は自国の投資家による投資を禁じる銘柄に中国の電子商取引最大手アリババグループとインターネットサービス大手テンセントホールディングスの追加を検討している」(1月7日付米ウォールストリート・ジャーナル=WSJ=電子版)とある。

 トランプ政権は中国人民解放軍や保安当局とのつながりを理由に自国民による投資を禁じる企業のブラックリストを作成し、昨年11月には31社を列記した。それに両社を加えるようというわけだ。「テンセントとアリババは中国の上場企業のうち時価総額で上位2社。合計の時価総額は1兆3000億ドル(約130兆円)を超える。両社の株式は多数のミューチュアルファンドなどの米投資家が保有している」(前記WSJ)。

 トランプ政権は2つの国家安全保障の観点から上場中国企業を点検している。1つは中国の軍事力を増長させてきたドル資金や技術、もう1つは中国のネット企業に集約される米国の民間や政府機関の情報だ。アリババなどはまさにこれに当てはまる。習政権自体、米株式市場からのドル資金調達に加え、アリババが電子決済個人情報を利用し、中国国内にとどまらず米国など国外にネットビジネスを広げ、世界をリアルタイムで監視下に置くもくろみがあると、トランプ政権は疑っているはずだ。

 それを見越した馬氏はあたかも習政権に抗(あらが)う姿勢をみせて、米側を油断させる「英雄演技」をしている。そんな見方は穿(うが)ち過ぎでもなかろう。折よく、ワシントンではトランプ政権の対中制裁策から一転して対中融和のバイデン政権に交代する。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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