東証1部企業“安月給”20社、デフレ不況の影響深刻

2010.07.22


厳しい給与水準が続くが、めげてばかりではいられない。来年こそ年収アップと信じたい(写真と本文は関係ありません)【拡大】

 サラリーマンが会社人生のなかで特に気にするものといったら、人事と給料だろう。東証1部上場の3月決算企業で2009年度の従業員平均給与が低い下位20社を抽出したところ、別表のようになった。この額を見て、自分たちより厳しい人もいるんだな、とホッとしている人も多いのでは。ただ、今後の給与動向については、来年は上向くとの見方がある一方、給与水準は簡単には改善しないとの見方も根強い。

 商工リサーチの調査で従業員平均給与がもっとも低かったのは、美容室「TAYA」を全国展開する田谷(東京)。その額は288万8000円(平均年齢27・5歳)。長引くデフレ不況で消費者の節約志向が強まり、同社の2010年3月期は赤字に転落した。

 2位は、介護医療大手のニチイ学館(東京)で290万4000円(同41・8歳)。同社の10年3月期は最終黒字を維持したものの、臨時雇用者を正社員化するなど雇用制度を変更したため、平均給与が大きく変動したという事情がある。

 これに続くのが、荘内銀行(山形)と北都銀行(秋田)の持ち株会社であるフィデアホールディングス(宮城)。「銀行員=高給取り」というイメージが強いだけに、低給与の上位に食い込んでくるのはちょっと意外な感じもする。ちなみに、額は310万1000円(45・4歳)だ。

 身近な企業では、紳士服チェーンのはるやま商事(岡山、352万8000円、31・1歳)、格安ラーメンチェーンの幸楽苑(福島、387万5000円、31・2歳)などがランクインした。

 平均給与が低い企業を業種別でみると、製造業が7社でもっとも多く、不動産4社、サービス業3社の順。当然ながら、これらの企業では報酬が1億円以上の役員はいなかった。

 平均給与が低い企業に共通する特徴について、商工リサーチ情報部は次のように指摘する。

 「第一印象として、長引くデフレ不況の影響が色濃く出ている企業ということがいえる。会社によって個別の事情はあるだろうが、製造業はモノが売れなくなって受注減が直撃、はるやま商事や愛眼のような小売業も節約志向の高まりに押されている」

 ただ、平均給与が低いからといって、必ずしもダメな会社というわけではない。

 まず、平均給与の計算方法は会社によって違うが、おおまかに言って、総給与を部長などの管理職以下の従業員で割った平均値。若い従業員が多い会社だと、平均給与も当然低くなる。

 「平均給与がもっとも低い田谷の平均年齢は27・5歳で、幸楽苑も31・1歳。こうした会社は技能を身につけて独立しやすいため、若い従業員が多いと考えられ、そのせいで平均給与が低くなっているのだろう。逆に言えば、独立せずに残ったベテラン従業員や管理職クラスは、それなりにもらっているはず」と商工リサーチ情報部ではみている。

 給料に関していえば、多くのサラリーマンたちが「以前の水準と比べたらえらく落ち込んでいるよな〜」という印象を持っているはず。そこで、専門家に今後の給与動向を聞いたところ、対照的な見立てが示された。

 第一生命経済研究所の永濱利廣・主任エコノミストは来年は明るい年になりそうとの見立てだ。

 「多くの会社で11年3月期の業績がよくなるとの予想が相次いでいるので、来年の春闘は賃上げをしやすい環境になる。業種の違いや個別事情、正社員か否かで事情は変わってくるだろうが、全員が全員、悲観することもない」

 一方で、東証1部上場メーカーの財務担当者はこんな指摘をする。

 「内外の投資ファンドが日本企業の株式を大量取得し、高い配当を要求するようになって以来、国内企業の賃金を取り巻く環境は変質してしまった。これまでなら、会社で稼いだ利益は従業員に還元されてきたが、今は株主に配当として還元するようになった。高い配当を実現することが、会社を買収から防衛する手段にもなっている。つまり、従業員の給与は企業業績が改善しても、それほど改善しないことを意味します」

 だとすれば、今はサラリーマン受難の時代といえそうだ。

 

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