消費増税で超円高&デフレ不況が深刻化!

2012.01.13


野田&谷垣で消費税率アップにまっしぐら【拡大】

 野田佳彦首相は12月中旬、指南役の細川護煕元首相に対し「消費税率の引き上げは任期中に必ず成し遂げたい。不成立となれば衆院解散・総選挙で国民の信を問いたい」と語ったという。消費税引き上げ法案を抱えて「自爆」する覚悟というわけだが、国民が道連れにされてはかなわない。

 ここで言う「自爆」には2つの意味がある。自民党の谷垣禎一総裁は消費税引き上げ案の先駆者という自負があり、野田氏との話し合い次第では消費増税法案を通したうえで解散総選挙=自爆=に踏み切る妥協に応じるか、解散総選挙=自爆=を経て谷垣・野田両氏が増税案を通すかで、いずれにしても消費増税が決まってしまう。

 問題は、消費増税という巨大な爆弾にある。成立=爆発=すれば日本国と国民をとんだ災厄に巻き込むことになる。

 「社会保障と税の一体改革」で、家計負担はどれだけ増えるのか。財務次官OBの武藤敏郎理事長の大和総研にしては珍しく、注目すべきリポートを出した。それによると、子供が2人いる年収500万円の標準世帯では消費税分16万円など負担増で可処分所得が約31万円も目減りする。可処分所得とは、家計の収入から税、社会保険料などを差し引いた手取りのことだ。それが月額平均で2万5833円、勤労日ベースで一日約1000円も減るではないか。コンビニ弁当で昼食を済ませていたサラリーマン・ウーマンは、朝食や晩飯の残りを弁当に詰めて出勤しても、まだ600円以上も足りない。月に1、2回にとどめていた居酒屋にもめったに行けなくなる。さらに復興増税も加わるので、負担はもっと増える。

 火の車の家計は家族が力を合わせればやりくりできるかもしれないが、どうにもならない怖いことが起きる。すでに始まっている超円高・デフレ不況の深刻化である。

 日本の慢性デフレの症状は、需要不足のために起きる物価の下落以上に可処分所得が下がることである。勤労者世帯の2010年のひと月当たり可処分所得は13年前の1997年に比べ6万6700円、13・4%減ったが、前年比平均で1%、4770円ずつ下落してきた。日本型デフレ病は極めて緩やかで超長期にわたり所得が縮むのが特徴だった。そこで筆者はこのデフレを「茹(ゆ)で蛙」の寓話(ぐうわ)に例えた。蛙は常温の水を入れた鍋に入れられ、時間をかけて熱せられてもじっとしている。日本の勤労者は蛙と同じように、少しずつデフレ水の温度を上げられているために、何かおかしい、懐具合がどうも悪い、と思いつつも、そんな日常に順応してしまっていたのだが、今度は一挙に火勢が強くなり、熱い、と叫ぶが、それまでの慢性デフレのために飛び出す気力も体力もうせている。

 日本は海外に対して260兆円もの純債権を持つ世界最大の債権国なのに、大増税までして「財政均衡」を図るのだから、海外の投資家は率先して日本国債を買い、円相場を吊り上げる。超円高は止まらず、企業は国内投資、国内雇用をあきらめる。リーマン後40兆円も縮小した国内総生産(GDP)はもっと下がり、GDP縮小を引き起こす所得税、法人税の減収分は消費税の増収分を上回り、財政はさらに悪化するので、今度は消費税を15%、20%にせよと財務官僚が言い出す姿が目に浮かぶ。(詳しくは拙近著『財務省「オオカミ少年」論』参照)(産経新聞特別記者・田村秀男)

 

注目サイト