太陽光発電の“盲点”…コスト高に悲鳴

2012.02.25

 太陽光発電などの再生可能エネルギーに力を入れてきたドイツで、まるでそれに逆行するような動きが出ている。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(1月25日付)によると、ドイツ政府は電力会社による太陽光発電の固定価格買い取り制度の見直しを発表、買い取り価格を年平均最大で27%も引き下げ、5年後には買い取りそのものを廃止する可能性さえ出てきたそうだ。

 買い取り制度というのは、電力会社に対し太陽光発電の電気を強制的に購入させるもので、石炭や天然ガス、あるいは原子力でつくった電気との価格競争に負けないようにするのが狙いだ。

 実際、この制度のおかげでドイツでは太陽光発電が急速に普及、いまや世界ナンバーワンの太陽電池国になっている。さらに原発事故後の脱原発の流れにのって全発電量の3割を再生可能エネルギーでまかなうという計画を明らかにするなど鼻息が荒かった。

 ところが、太陽光発電を買い取る電力会社は、当然ながらだが費用をそのまま料金に上乗せしたため、コスト増に企業側が音を上げ、最近では海外移転さえ取り沙汰されるほどだ。

 人類が石油や石炭などを大量に燃やし始めたのは産業革命の第2段階が始まった19世紀中頃から後半にかけてだ。以来、大量生産、大量消費という便利な近代社会は、これら化石燃料から得られる膨大なエネルギーによって支えられてきた。

 しかも、そうした人類社会の構造は再生エネルギーの登場後も変わっていない。例えば、鉄製造のための高炉には化石燃料による高熱が絶対不可欠で、再生可能エネルギーが生み出す電力ぐらいでは到底まかなえない。70億人を超す地球の人口を養う大量の食糧にしても、化石燃料でつくる化学肥料や農薬がなければ考えられないことだ。

 つまり、太陽光発電に限らず風力や地熱、バイオエネルギーは高コストというだけでなく、数億年かけて凝縮生成された化石燃料とは比較にならないほどひ弱なエネルギー源ということだ。

 化石燃料に問題があるとすれば、地球温暖化につながるガスを大量に発生させることや、いずれは無くなるという資源の有限性にあった。実際、中国など新興国の登場でまず石油が高騰し、製鉄に使う良質の石炭さえ急速に値を上げた。エネルギー資源のない日本で放射能漏れというリスクを負いながらも、原発開発が営々と進められてきたのはそうした背景があったからだ。

 財務省が発表した1月の貿易統計では、日本の貿易赤字は過去最大になったそうだが、その主な理由は原発が使えず天然ガスを大量に緊急輸入したことにあった。

 そろそろ放射能アレルギーを克服し、原発再稼働を決断するときがやってきたのかもしれない。

 ■前田徹(まえだ・とおる) 1949年生まれ、61歳。元産経新聞外信部長。1986年から88年まで英国留学。中東支局長(89〜91年)を皮切りに、ベルリン支局長(91〜96年)、ワシントン支局長(98〜2002年)、上海支局長(06〜09)を歴任。

 

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