“石油ショック”の恐怖が日本を襲う!ガソリン200円突破も

2012.04.03


緊迫する中東情勢。2008年にはレギュラーガソリンが185円まで跳ね上がった。石油ショックの危機が迫る(写真はコラージュ)【拡大】

 ガソリンの値上がりが止まらない。原油価格の高騰を受けて石油元売り大手が価格を引き上げているが、根っこにあるのが中東情勢の緊迫だ。ホルムズ海峡封鎖をちらつかせて核開発を進めるイランに対し、核保有国のイスラエルは単独攻撃も辞さない構えだ。「中東戦争」が勃発すれば、原油やガソリン価格は天井知らずとなり、「石油ショック」が経済に与える打撃は深刻だ。

 石油情報センターがまとめた3月26日時点のレギュラーガソリン店頭価格は、全国平均で1リットル当たり157・6円と、2008年10月以来約3年5カ月ぶりの高水準。東京都内では160円を突破した。

 08年のガソリン高騰局面は原油市場への投機資金の流入が引き起こしたもので、8月には史上最高値の185円をつけた。リーマン・ショックによる景気減速で100円台まで下落したが、昨年3月の東日本大震災で再び急上昇、そしてここにきてまた高騰している。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の芥田知至氏は「イランを中心とした地政学的リスクへの懸念が大きい。加えて、景気の見通しが改善しつつあり、原油の需要が思ったより底堅いとみられていることも背景にある」と解説する。

 その懸念要因となっている中東情勢は一触即発ムードだ。イランの核開発疑惑をめぐって欧米諸国がイラン産原油の輸入を禁止するなど制裁を実施、イラン側は対抗措置として原油や天然ガス輸送の要衝となっているホルムズ海峡封鎖をにおわせている。

 こうした動きにいきり立っているのがイスラエルだ。同盟国の米国は自制を促しているが、イスラエルのヤアロン首相代理兼戦略担当相は「イランが核兵器開発能力を手にする前に攻撃すべき」と勇ましい。残された時間は「何カ月か」だと述べ、イスラエル単独の先制攻撃もあり得るとの認識を示す。イスラエルが最近、イランに隣接するアゼルバイジャンの空軍基地を使用する許可を得たとの情報もある。

 市場関係者は、実際に交戦状態に入る可能性をどうみているのか。

 前出の芥田氏は「イランもイスラエルも戦うメリットはないので、緊張緩和に進むのではないか。ガソリン価格もいまが高値で、年後半には下がっていく方向で、順調なら原油価格は1バレル当たり10〜20ドル、ガソリンは1リットル当たり5〜10円程度下がると考えている」と冷静だ。一方でこう指摘する。「確率は低いがホルムズ海峡の封鎖が起こると、どこまで上がるのかわからないぐらい上がるだろう」

 クレディ・スイス証券チーフ・エコノミストの白川浩道氏は「米国は11月の大統領選、来年1月の就任式まではイスラエルに自重するよう強く求めているが、その後はわからない。2013年の方が危ない」と分析する。

 そして、交戦状態となった場合の影響について「原油市場は有事リスクを織り込んでいない。戦争間近というイメージが半月から1カ月続けば、原油相場は一気に最高値を更新する。電力料金は引き上げられ、ガソリン価格は170〜180円、200円になっても不思議ではない。家計への負担は大きく、消費にマイナスの影響になるのは間違いない」と白川氏。企業にとっても原油高が業績回復の足を引っ張ることになる。

 前出のイスラエルのヤアロン首相代理は「軍事攻撃は最終手段であるべき」としているものの、イランの複数の核関連施設について「いかなる施設も突破可能だ」と主張する。イスラエルは核保有国であるだけに不気味だ。

 東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏はこんな見方を示す。

 「イスラエルが攻撃に踏み切る可能性は5割以下とみているが、イスラエルは右派に押されて攻撃に踏み切ってしまうという怖さが残る。また、戦争リスクや原油高を煽った方が利益になる勢力もいるので、攻撃がない場合も原油やガソリン価格は長期間高止まりするだろう」

 本来ならばガソリン価格が160円を3カ月連続で超えた場合、ガソリン税の上乗せ税率分25・1円の課税を停止する「トリガー条項」が発動されるのだが、政府は昨年4月に東日本大震災の復興財源を確保するという名目で凍結したままだ。政治の無策に民間が苦しめられる材料がまた一つ増えてしまいそうだ。

 

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