“失速”した電気自動車 HVが市場を席巻!

2013.02.10


EVで孤軍奮闘する日産のリーフ【拡大】

 21世紀の「究極のエコカー」と期待された電気自動車(EV)が「失速」状態に陥っている。10年ほど前には「いずれEVの天下が来る」と予想されたが、日本だけでなく欧米を含めて予想は外れ、一部には「結局“あだ花”に終わるのではないか」といった悲観論さえも出てきた。

 日本の自動車メーカーでEVに一番力を入れてきたのは日産自動車だ。2009年に100%電気で走るEV「リーフ」を大々的に発表(発売は10年)して、本格参入した。だが同じ年、ライバルのトヨタ自動車がガソリンと電気モーターで走るハイブリッドカー(HV)の3代目で普及型の「プリウス」を発売し、ホンダも普及型のHVを発売。折からのエコカー補助金の効果もあって、自動車業界はエコカー販売一色の様相となった。

 テレビCMの中心はHVで、EVはやや影が薄かった。実際の販売台数でもHVが飛び出し、EVのスタートダッシュは芳しくなかった。日産も、本社を移した横浜市を巻き込んで、横浜での急速充電設備の普及などをアピールして、EV普及の基盤づくりに注力したが、HVの売れ行きのスピードにはとてもかなわなかった。

 EVの普及には、もともと高いハードルがあった。それはコストの高さと充電施設・設備の未整備の2点。蓄電池がなかなか安くならないので価格が下がらない。また、1回の満充電での走行距離が100〜120kmからなかなか飛躍できないことだった。

 仮に最大走行距離が100kmとすると、往復を考えると50kmの範囲でしか行動できない。目的地の近くに急速充電設備があるとわかっていて100kmである。使い勝手が向上しないのだ。実際、「リーフ」の国内販売累計は2万台強にとどまる。欧米を入れても約4万6000台だ。

 対してHVは、破格の低燃費を実現してなお、使い勝手がよく、クルマとしての“走り”を担保した点が、利用者の好感を得て、瞬く間にシェアを拡大した。トヨタの狙いもクルマとしての“走り”に重点を置いていた。しかもHVをベースにして他車種に展開できることから次世代車、エコカーの大本命として世界中に販売できたのだ。

 日産のゴーン社長は、この1月に開かれた北米国際自動車ショーで会見し、リーフの販売伸び悩みについて「失望している」と語ったほど、世界のEV需要ははかばかしくない。EVを前面に押し出してきた日産も、HVの車種にも力を入れるなどやや軌道修正した。

 とはいえ日産は「リーフ」の巻き返しもはかる。まず、販売価格を一律28万円値下げする。国の補助金を最大限利用するのだが、それでも低グレードのHVより少し割高で、およそ220万円に。

 また経産省もEV普及の後押しとして、13年度内に充電施設を5000基設置する(昨年末で1300基)。こうした改善策でEVの普及に弾みが付くかどうかは不透明。その理由は最大手のトヨタが本格参戦してくる様子がないからだ。

 EVについてトヨタなどは、プラグインHVで対応が十分可能だと考えている。ほぼ全車種をHVで展開する姿勢だ。EVの普及は、エコカーの本筋をEVに置いている日産の“孤独な”闘いとなりそうだ。しかも、技術開発の次の舞台は「燃料電池車」に移っている。EVは、取り残されるかもしれない。(産経新聞編集委員・小林隆太郎)

 

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