「リフレ政策」って何? なにがなんでも物価目標を達成

2013.03.10


次期日銀総裁候補として金融緩和拡大を主張する黒田東彦氏【拡大】

 次期日銀総裁に黒田東彦(はるひこ)アジア開発銀行総裁の就任が確実になった。黒田氏は「リフレ派」の一角と目されているが、「リフレ」とはあまりなじみのない言葉だ。安倍晋三内閣が進める強力な金融緩和を実行する新総裁の就任で、果たして日本はデフレから脱出できるのかどうか。

 「リフレ政策」というのは、米国のアーヴィング・フィッシャーという経済学者が提唱したマクロ経済政策で、物価上昇率の目標を定め、それを達成するまでお金をどんどん世の中に出して(金融緩和)、出回るようにすること。モノの値段が下がり続けるデフレは、同じお金でたくさんのモノが買えるという、つまりお金の価値が高いということ。だから、世の中のお金の量を増やしてその価値を低くすれば、相対的にモノの価値(物価)が上がるという理屈だ。

 物価上昇はインフレというが、リフレは英語では「リフレーション」といって「通貨再膨張」を意味する。そのための金融緩和は、銀行などが持つ金融資産を日銀が買い上げて、銀行にお金を供給し、銀行がそれにより貸し出しを増やして市中の流通量が増えれば物価上昇が期待できるという論法。

 しかも緩やかで安定的なインフレを目指し、年率換算で数%のインフレ率を想定している。金融緩和で中央銀行による国債の買い上げを積極化するが、インフレ目標に達したなら、いったんそこで緩和の手を緩めて、インフレ目標の維持を基本にする。

 だからリフレ派の人たちは、「人々は物価が上がる前にモノを買おうとするので、消費が増え、企業の売り上げや儲けが増える」と考える。お金の価値が下がると予想すれば、預金をおろし不動産や株式などを買おうという行動に出る。投資が活発化するというのだ。

 アベノミクスで、金融緩和が本流となったことで円安となり、日本の輸出企業が業績好転すると予想され、株式市場が好調になったのもこの考え方が効を奏している。日本の個人金融資産も投資に向かっているともみられる。

 過去にもこのリフレ策の実績があるか、といえばある。それは、世界大恐慌のあおりでデフレに陥った1930年代に高橋是清蔵相が採った政策だ。デフレから抜け出すため、かなり積極的な財政出動を行い、財源不足分は国の借金である国債を日銀に引き受けさせて賄った。財政出動でお金が世の中に出回り、デフレから脱却した。

 リフレに成功後、高橋蔵相はインフレを抑えるため軍事費削減を図った。そのため軍部の恨みを買い、2・26事件で暗殺された。その後、日中戦争、太平洋戦争に向けて戦費調達のため国の借金は膨らみ、戦後のインフレを招いた。

 副総裁候補の岩田規久男学習院大学教授もリフレ派といわれる。正副総裁がリフレ派ということは、内外に対して金融緩和に強い姿勢で臨むことを強烈にアピールすることになる。

 2%の物価目標をなにがなんでも達成すると決意を表明している新総裁だが、80年前とは日本を巡る状況も異なる。グローバリゼーションははるかに進み、デフレの構造も複雑化している。現代における新しい試みだけに、副作用がないのかなど目配りも慎重に行う必要があるだろう。(産経新聞編集委員・小林隆太郎)

 

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