「日米貿易」米が抱える不満 郵政民営化改正法、自動車、知的財産保護…

2013.04.17


米国のカーク通商代表(左)とオバマ大統領。日米間貿易協議には2人の意向が色濃く反映される(AP)【拡大】

 日本のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加を巡る米国との事前協議では、「ちゃぶ台をひっくり返そうと思ったことも一度や二度ではない」(関係閣僚)と言われるほどハードな交渉が展開された。一方、このほど公表された米通商代表部(USTR)の2013年「外国貿易障壁報告書」から透けて見えるのは、自動車、農産物、金融、知的所有権などに関し、一層の市場開放を求める米国の並々ならぬ意欲だ。

 報告書は毎年、出されているが、日本に言及した部分で昨年と今年とを比較してまず目をひく違いは、「サービス障壁」における日本郵政に関する部分。「米国政府は、日本郵政を民営化すべきかについては中立である」との基本スタンスは変わらないが、今年の報告書では次の文面が追加されている。

 「2012年4月に成立した郵政民営化改正法は、対等な競争条件に対する長年の懸念をさらに高めた。特に今回の見直しは、日本郵政各社の保険業法および銀行業法からの適用除外を拡大し、日本郵政各社が業務範囲を拡大することが認められる前に満たさなければならない条件を下げ…」

 郵政民営化改正法に対するあからさまな不満の表明に他ならない。特に、「引き続き高い優先事項」としている「保険」は、「対等な競争条件が確立される前に、日本郵政グループがグループ金融機関の業務範囲を拡大することを日本政府が認めないよう、引き続き求める」とし、「2012年9月にかんぽ生命およびゆうちょ銀行によって提出された学資保険の改定および新たな住宅ローンサービスの認可プロセスを引き続き注視する」とクギを刺している。

 また、「保険の銀行窓口販売」について、昨年4月の規制緩和は範囲が狭く、商業的インパクトが限定的であったとして、「見直しを近い将来行うことを求める」と強い調子で言及している。

 一方、自動車関連では、「伝統的にさまざまな非関税障壁が日本の自動車市場へのアクセスを妨げてきた。米国産自動車および自動車部品の日本での総売上は、依然として低く、重大な懸念である」と不満を表明している。

 このほか、「知的財産保護」で、「日本は映画の著作権の保護に対しては70年の保護期間を与えているにもかかわらず、著作権および関連する権利によって保護される他の全ての著作権に対して50年の保護期間しか与えていない」。「政府調達」で、建設、建築および土木工事について、「米国企業は、毎年、日本の巨大な公共事業市場において、1%よりはるかに少ない事業しか獲得していない」。

 「投資障壁」で、「OECDの統計によれば、2010年末の対内直接投資残高は、全OECD平均のGDPの28・8%と比較し、日本はわずか3・7%である」と、具体的な数値を挙げて、市場開放を求めている。

 TPPの根幹は日米間の貿易協議で、交渉参加は入り口でしかない。

 ■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。

 

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