ビッグホリデー・岩崎安利社長 大阪万博で破格の成功「志は天より高く」

★ビッグホリデー 岩崎安利社長(69)

2013.06.18


岩崎安利社長【拡大】

 中堅旅行会社のビッグホリデー。全日空の戦略販売会社として、主に国内、海外旅行のパッケージ商品の企画・販売を手がけ、スキーツアー分野では国内トップシェアを誇る。近年は余暇創造企業グループとしてエンターテインメント・チケットの取り扱いのほか、旅行業界に特化した人材派遣、さらに外国人訪日旅行商品など積極的に新分野に進出している。

 ──2008年のリーマン・ショック、11年の東日本大震災と取り巻く環境はかなり厳しいようですが

 「大変だったのはリーマン・ショックの時です。倒産した会社もあり、旅行業界はどうなってしまうのかと心配した。そこに今度は東日本大震災です。当社の場合、春のスキーバスに次々とキャンセルが出て、人数にして9万8000人に及んだ。ただ、4月中旬を分岐点にマスコミが『自粛解除。こういうときこそ旅行に行くべきではないか。消費を増やせ』と応援してくれたこともあり、温泉街などにも徐々に客足が戻って、その年は結果としては良かった」

 ──18歳で旅行業界に身を投じ、20歳で独立しました

 「高校生のときに父親が51歳で亡くなり、すぐに働かなければならなかった。そこで見つけたのが旅行会社。それも固定給ゼロのフルコミッション会社でした。毎日夢中で働きましたよ。早川電機(現シャープ)に飛び込み、スキーツアーを企画したのが最初で、これで自信を得たことから2年で独立しました」

 ──それが北日本ツーリスト・ビューローですね

 「いまでもスキーツアーは当社の主力商品の1つです。5年目の69年に社名を『東京ブルー観光』に変え、本格的にバス旅行に取り組んだ。翌年大阪万博が開かれたときなど、一世一代ともいえるアイデアを駆使して勝負に出ました」

 ──どんな手法を

 「巨大イベントだっただけに近隣のホテルや旅館は大手旅行会社に押さえられていた。弱小旅行会社の出る幕などなかった。そこで目を付けたのが万博会場近くの千里ニュータウンに建つマンション群です。売主のデベロッパーと交渉してこれを借り、貸し布団と仕出し弁当を付けて移動は夜間バス。これで1万3500円という破格の商品に仕上げたわけです。当時、慰安旅行で万博など夢のような話だっただけに反響は大きく、何とバス120台分を送客。社員3人はフル稼働だった。売り上げは1億円に達したほどでした」

 ──バスから飛行機旅行時代への切り替えにも、社長の鋭い時代感覚が発揮されています

 「当時、全日空の航空券は、大手旅行会社しか販売できなかった。当社が指定代理店になった後、これからの大航空時代に対応するため、中小零細旅行会社を取りまとめることを思い付き、総代理店の資格を認めてほしいと頼みに行きました。ところが全日空の定款には『第三者への販売委託の禁止』がうたわれていた」

 「そこで私は『エアライン3社とも売っているのは、本当の代理店ではない。全日空だけを売る代理店をたくさん作るべき。1社1社は小さくとも集まれば大きいですよ。当社が全責任を負いますから』と説いたわけです。で、79年になって当社を介しての中小旅行会社と全日空との提携がスタートした。中小旅行業者にとって『全日空代理店』の看板の効果は大きく、また全日空も販売の増加でメリットを得ることができ、大いに喜ばれたものです」

 ──ツアー冬の時代といわれ、若者の渡航熱も冷え込み、旅行業界も新戦略を打ち出さなければならない時代になってきました

 「いま当社は余暇創造企業をコンセプトとして新商品、新事業を次々と打ち出しています。LCC(格安航空会社)を利用した新しい航空旅客需要の取り込み、コンサートやイベントを組み合わせたツアー、ボランティア旅行、アニメの旅といった具合で、これからのツアーは多様化していきます。一方ではコンサートチケットの販売、インターネットを活用したウェブリテーラーなどの新事業も始めました。旅行業は、これからますますライフスタイルに合わせた余暇創造事業化が進んでいくとみています」(宮本惇夫)

 【家族】妻と長男(大学生)の3人家族。

 「息子にほしいのは人間としてのバネだね。逆境に遭ったとき、それをどうはねのけて立ち上がっていくか。いまの子にバネを求めても難しいかもしれないが、自分1人、何を武器に生きていくか。『それをちゃんと考えないとだめだよ』とは言っています」

 【酒】35歳まで一滴も飲まなかった。強い方ではなくお付き合い程度。飲んでも「缶ビール1缶です」という。

 【健康法】「体が資本だし、いろんな人から顔色を見られているから、週に3回くらいフィットネスクラブに通って体を動かしています」

 【休日】散歩と映画。「女房と江ノ島や箱根へ日帰り旅行や散歩。最近見た映画では『舟を編む』『リンカーン』『図書館戦争』がおもしろかったですね」

 【座右の銘】志は天より高く。「『それを言い続けることが大切だ』と会社では言ってます」

 【読書】「知り合いや友人からいろいろ本を贈られる。これを読むのに一苦労です」

 【尊敬する人】オリエンタルランドの加賀見俊夫会長、徳間書店の徳間康快元社長、心拓塾主宰の秋沢志篤氏。

 「加賀見さんは、いま現在も年に2度、高校生と食事をし、若者の声や発想、ライフスタイルなどを吸収する努力を欠かしていない。徳間さんは少年のような夢や志を持ち続けていた方だった。秋沢氏は親しい友。大病をわずらい、再起が危ぶまれたが、持ち前の頑張りで、歩けるまでに回復した。そしていま小学生を対象に次世代リーダーを育てる教育事業に情熱を傾けている。すごい頑張りです」

 【会社メモ】本社・東京都文京区本郷。1964年、北日本ツーリスト・ビューローとして設立。69年、東京ブルー観光に社名変更し、85年からビッグホリデー。資本金8000万円、2012年6月期の取扱高810億円(グループ全体)。従業員280人(同。契約社員、アルバイト除く)。

 ■いわさき・やすとし 1943年8月25日生まれ。69歳。埼玉県川口市出身。都立北野高校卒後、62年、東光観光入社。64年、北日本ツーリスト・ビューローを設立。スキーバスや入居前マンションをホテル代わりに活用した大阪万博ツアーなどで大成功を収めたほか、77年に全日空の指定代理店を取得し、旅行業界での地歩を固める。

 

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