株を乱高下させる“主犯”の手口とは 変わらぬウォール街支配の現実

2013.06.21

 日経平均株価は5月23日の急落以来、乱高下を繰り返している。主犯はヘッジファンドを中心とする海外の投機勢力だ。その手口とは何か。

 グラフを見てほしい。ことし1月初めから6月中旬までの日経平均株価の営業日7日前に比較した変動率を、日本時間前日の米国の代表的な株価指数であるダウ・ジョーンズ(DJ)平均株価および円ドル相場の各7日前比変動率合計値と突き合わせてみると、営業日数のうち8割は同一方向に変動。ときにはぴったり重なり、しばしばこの合計値以上の幅で上下に揺れ動く。7日前との比較にしたのは、短期間の趨勢(すうせい)がくっきり浮かび上がるからである。前日比、あるいは数日前比では小刻みすぎて趨勢を読みとりにくい。

 ランダムなはずの株価変動がなぜこうもたやすくコントロールされるのか。日本株の売買金額の5〜6割は外国人投資家で占められるが、外国人投資家の主力はヘッジファンドや欧米系投資ファンドであり、その本拠はウォール街にある。彼らは、米株式相場と円ドル相場の変動を総合した日本株の自動売買プログラムをコンピューターに組み込んでいる。日本国内の機関投資家や個人投資家は外国人に引きずられるようにして株を売買する。日経平均株価は国内の投資家が投機筋に追随することで上下にバイアスがかかる。

 日本の株式市場の弱さは、とどのつまりグローバルな金融市場での円が基軸通貨ドルに従属するローカル通貨の地位にあることから起因する。日本株はウォール街にとってローカル通貨建ての金融商品に過ぎない。ウォール街の投資ファンドはグローバルな資産運用をドル建てで組んでいる。かれらの帳簿上、日本株の運用比率は一定期間、同一に保たれる。

 一番大きな運用シェアを占める米国株が上がれば、日本株の保有比率が下がるので、彼らの自動売買プログラムが日本株買いを指令する。ドル安、円高となると、日本株のドル換算価格が上がるので、日本株は売られる。逆に米国株高、円安となれば日本株買いとなる。ヘッジファンドはこの方程式をテコにする。

 日本の株式など金融市場が世界の金融センター、ウォール街に支配される現実は、ドル基軸通貨体制のもとでは短期間では変えようがない。ドル基軸体制は2008年9月のリーマン・ショックで揺らぎ、没落すると多くの識者からみられたが、危機にさらされたのはドルを追撃するはずのユーロである。米国連邦準備制度理事会(FRB)はさっさとドルを大量に増刷してウォール街に流し込んで、住宅ローン担保証券、国債そして株式市場を安定させ、ドル金融市場を焼け太りさせた。

 日本が自国株式の主導権を取り戻すためにも、アベノミクスを粛々と実行するしかない。着実にデフレを一歩一歩解消していく。デフレ圧力という妖怪を呼び戻す消費増税という天下の愚策を大幅延期すべきである。(産経新聞特別記者・田村秀男)

 

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