「バブル」と騒ぐメディアと学者が日本経済を潰す 無知か、政治的意図か?

2013.07.05


フロー(GDP)とストック(金融資産)が連環する米国【拡大】

 最近の株式相場の乱高下をみて、「アベノミクスはバブルを引き起こすだけだ」といった批判派が勢いづいている。そんな論者は現代経済というものがフローとストックに分かれており、ストック部門がフロー部門を支える現実を無視する。フローとは実体経済活動で、国内総生産(GDP)で代表される。ストックとは株式など金融資産のことだ。ストックが栄えない国の経済は必ず沈む。

 日本の場合、1990年代初めのバブル崩壊以来、ストックがないがしろにされてきた。民間主導経済は本来、金融資産市場を活発化させ、そこからあふれ出るマネーがモノやサービス、労働の市場に流れ込んで景気を拡大させるという循環で成り立つのだが、何かといえばバブルだ、インフレだと騒ぐ日銀とそれに追随するメディアがこの循環メカニズムを壊した。

 1998〜2012年度までの日本の家計金融資産はリーマン・ショック後の落ち込みを除けば、デフレ不況とは無関係に拡大を続け、今年3月末には15年前に比べて284兆円増えたが、名目GDPは47兆円減った。中でも現預金は一貫して膨張を続け、154兆円増えた。新規融資せず、国債など価値が安定した金融商品で集まった預金を運用する金融機関を責めるメディアは見当たらず、日銀は健全経営だと評価する体たらくである。

 同じ比較を米国のGDPと金融資産でみると、見事なまでに並行して共に増え続けている=グラフ。米家計金融資産は2008年9月のリーマン・ショックで11兆ドル(約1100兆円)も減ったし、GDPも大きく落ち込んだが、09年4月以降は順調に回復し、15兆ドルとGDP1年分相当を上積みした。GDPも増加基調だ。

 この米国の姿こそが正常な市場経済というもので、日本の大失敗の原因を見抜いたバーナンキ議長は3度にわたる量的緩和(QE)政策で金融資産市場をてこ入れしてきた。ドル札を数年間で3倍以上も刷り、住宅ローン担保証券(MBS)や長期国債という金融資産を大量に買い上げ続けたのは、景気回復につなげられるとの自信があるからだ。あるいは、ストック部門がにぎわえば、生産や雇用が好転すると踏んでいるのだろう。

 残念ながら、日本ではそんな意識がいまだに乏しい。日本の経済論壇でよく知られている有名教授も「金融緩和で日本は破綻する」との言説を唱え、反アベノミクス本で荒稼ぎする具合である。

 もっとタチが悪くひどいのが、主流派メディアだ。朝日新聞は5月23日の日経平均株価急落の翌日の朝刊1面で、株式バブル崩壊との見方に立って異次元金融緩和を止めよ、と書き立てた。異次元緩和をやめてしまえばどうなるか。株式暴落どころではない。デフレは再び加速し、日本経済は半永久的に沈み続けることになるだろう。単なる現代経済への無知がそうさせるのか、それとも、特別な政治的意図でもあるのだろうか。(産経新聞特別記者・田村秀男)

 

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