アベノミクス効果で税収4兆円増へ 消費増税強行なら景気は失速

2013.07.12


一般会計税収伸び率の推移【拡大】

 「アベノミクス」効果によって税の自然増収にはずみがついてきた。

 財務省の税収データによると、一般会計の税収総額はことし1月から前年同期を上回り始め、この5月分税収までを対象とする2012年度の一般会計税収は43兆9314億円で、予算案より3・1%、1兆3244億円上回った。

 なかでも、景気動向に敏感な法人税収は同8・5%、7663億円上回ったが、実質的にはもっと増えている。12年度からは東日本大震災関連の復興特別法人税が徴収されるが、特別会計に区分けされているために、一般会計でいう法人税には含まれていない。それを合算すると、法人税収は実に予算案比で15・7%、1兆4157億円超となった。さらに所得税収も予算案比で2・9%、3900億円超となっている。

 この「見込み違い」は1月から効果が出始めたアベノミクスによる景気の好転によると言っていい。

 そこでグラフをみてみる。左側の目盛りは税収、右側は名目国内総生産(GDP)の各前年度比伸び率を示すが、名目成長率1に対し税収伸び率10の割合になるようにした。すると名目成長率より10倍の速度を基準に税収の伸び具合を判別できる。12年度の場合、税収総額は名目成長率の12倍以上、法人税収は34倍となった。さらに言えば、所得税収は11・7倍、消費税は4・7倍となる。

 GDP伸び率1に対して、どのくらいの割合で税収が増えるかを「税収の弾性値」と呼び、中長期的なデータをもとに推計する。前出の数値は単年度だけのいわば瞬間風速値なので、持続性のある弾性値とはいえない。

 財務官僚は弾性値を1・1程度にみているが、この数値は1980年代後半の円高・資産バブル期という特殊な状況下を根拠に、意図的に弾性値を低く見積もっている。最近の実績では弾性値は少なくみて2・5、多くみて4という具合である。景気回復期はとくに弾性値が高いが、固めにみて3としても、今年度で政府見通しの名目GDP成長率2・9%が達成され、税収は8・7%、年間約4兆円で伸びる計算になる。景気回復がこのペースで来年度も進むと、税収は2014年度に51兆9000億円となり、政府が立てている財政再建目標の同年度税収51兆5000億円をやすやすと達成できる。

 つまり、14年度4月予定の消費増税に踏み切らなくても、財政再建の道筋が明確になってくる。

 それどころか、消費増税をこのまま強行すれば、せっかくはずみがつきかけてきた景気回復にデフレ圧力が加わって、アベノミクス効果ははげ落ち、景気は失速しよう。その結果、税収自体が落ち込むのは、1997年度の橋本龍太郎内閣の増税後や最近の英国の付加価値増税の失敗例からみても明らかだ。安倍晋三首相は増税に慎重だが、財務官僚が自公民3党に張り巡らせた増税包囲網を突破できるかどうか。(産経新聞特別記者・田村秀男)

 

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