物件価格10万円の中古マンション 24時間フロント対応、スポーツジムあり

2013.07.14

 嘘ではない。物件価格10万円のマンションが現に販売中なのだ。もちろん中古。築20年だとか。でも、外観の写真を見るととても素敵で、全533戸のスケール。立派なエントランスにロビーもある。建物内にはスナック食品などが購入できる小さなショップやトレーニングマシンを備えたスポーツジムも。そして、フロントは24時間の対応だ。

 住戸の面積は約34平方メートル。気になる管理費などは1万5100円。

 こういうマンションが自宅のそばにあると、ぜひキープしておきたいものだ。セカンドハウスとして最適ではないか。

 しかし、所在地は新潟県の湯沢町というところ。JR上越新幹線「越後湯沢駅」より約23キロメートル、車で約35分もかかる。

 つまり、築20年の「リゾートマンション」というわけ。湯沢周辺では、10万円や15万円で買えるマンションがいくつも売り出されているが、条件は似たり寄ったりで、温泉大浴場などの施設がある場合には、管理費がもっと高くなる。

 しかし、物件価格が10万円などというのは不動産としてはタダ同然。なぜ、こんなことになっているのか。答えはカンタン。それだけの価値しか市場が認めていないのだ。

 私が不動産専門の広告代理店に勤めていた25年ほど前、世の中はバブル真っ盛りだった。同時にスキーブームにもなっていた。湯沢や苗場には次々に「リゾートマンション」なるものが開発・分譲された。下っ端の私も駆り出されて、その広告作りをしていた。

 当時からすごく疑問だった。なぜ年に30日ほどしか使わないであろうマンションが、東京の物件とさして変わらない価格で売れるのか。それを購入する人は、毎月の割高なランニングコストを負担することに疑問を感じないのか。

 例えば、立派な温泉大浴場付きのリゾートマンションなら、湯沢でも熱海でも毎月の管理費が3万〜6万円はかかる。夫婦2人なら、その金額で1泊2食付きの温泉旅行ができるではないか。リゾートマンションを買えば、それを毎月負担しなければいけないのだ。

 バブル時代は、そういった物件が平気で何千万円もの値段で売られていた。また、それを買う人がいたから市場が成立していたのだろう。熱海の駅近エリアなら、東京の郊外よりも高かった。

 だが、築20年以上の中古となると、湯沢などの「スキーエリア」では軒並み100万円以下、熱海などの「温泉エリア」でも、物件によって1000万円未満で売り出される。

 リゾートマンションというのは、1年365日のうちの3分の1、つまり120日くらい利用するのでなければ意味がないと思う。言ってみれば「半住」。そうでないのなら、その分の費用を旅行に使えばいい。豪勢な海外旅行や温泉旅行が何十回、何百回とできるはずだ。

 リゾートマンションとは、不動産商品としてそもそも成立しない形態ではないのかと思う。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。

 

注目情報(PR)

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

実践で使える英会話を習得!業界最高峰の講師がサポートします。毎日話せて月5000円《まずは無料体験へ》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

サンスポ予想王TV

競馬などギャンブルの予想情報を一手にまとめたサイト。充実のレース情報で、勝利馬券をゲットしましょう!