埼玉県知事が指摘する“西武HDvsサーベラス”の問題点 透明性高い外資規制を

2013.07.17


埼玉・上田知事の指摘で「西武VSサーベラス」の問題点が明らかに【拡大】

 西武ホールディングス(HD)と投資会社サーベラスの確執は、サーベラスが目指した西武HD株の公開株式買い付け(TOB)が目標の44%に届かず、かつ6月25日に開かれた西武HDの株主総会では、サーベラスが提案した取締役の選任などはすべて退けられた。両者の対立(前半戦)は西武側の勝利となり、当面、西武現経営陣主導の経営が続く。

 この一連の対立劇で、いち早く西武支援を打ち出し、重要なキーパーソンとなったのが埼玉県の上田清司知事(65)である。その上田氏が自身の「上田きよしレポート」でいきさつを振り返り、問題の本質を指摘している。

 「そもそもこの対立は何故起こったのでしょうか。それは日米の企業ガバナンス(企業文化ともいえるでしょう)の差ともいえます。米国の企業、とりわけ投資会社の利益追求は徹底しています。サーベラス社の思うように西武グループが利益を得られないならば、『赤字の鉄道路線を切り捨てろ。埼玉西武ライオンズを売れ。役員を入れ替えるぞ!』などと要求するのは投資ファンドとしては間違いではない」

 「ただし、日本的企業文化は地域貢献や長期的、総合的利益を重視する渋沢栄一以来の『論語とソロバン』です。もとより私は埼玉県知事ですので、県民益、県益やもっと重要な観点から、西武ホールディングスを応援しました」

 上田氏はサーベラスの行動に理解を示しつつも、そこにはより重要な視点が抜け落ちていると指摘しているのだ。

 「その一つは、西武ホールディングスが日本企業の中で5番目の土地持ち企業であることです。日本では事実上、外資の土地取得についてゼロ規制です。西武グループは水源地も持っています。日本人は水と空気はタダと思いがちですが、上ものの土地は外国のものといった悪いジョークが対馬で起こりつつあるのです。もう一つは、日本における外資規制についての原則が弱いと思われることです」

 日本には外為法に基づく対内直接投資規制が存在する。その中では、「国の安全」に関わる業種として、武器、航空機、原子力、宇宙開発など。「公の秩序」関連で電気、ガス、通信・放送、水道、鉄道系など。「公衆の安全」関連で生物学的製剤製造業、警備系などが指定されている。西武HDは外為法の規制に該当する業種であるのだ。

 ところが、この外資規制は2008年の「電源開発」に対する英国系の投資ファンドの買収に対し、財務大臣と経済産業大臣が中止命令を出した例があるだけだ。開かれた投資国として魅力を打ち出す必要はあろうが、同時に透明性の高い外資規制も求められる。

 上田氏は続ける。

 「橋本龍太郎内閣の時に、金融自由化をめぐって東京ビッグバーンが必要だと言われ、国内の準備ができないまま国際標準にしたら、金融機関がバタバタ倒産をし、東京ビッグバターンになってしまった悪しき例をこれ以上つくってはならない」

 ■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。

 

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