日本人の「新築好き」は異様 今後の住宅市場、主役は中古へ

2013.07.28


日本で新築信仰が強いのはなぜか。いずれは中古が主流に【拡大】

 先日、国土交通省から発表された5月の「住宅着工戸数」は8万戸弱、年率換算値で約102万戸だった。一方、ロイター電が伝えた米国5月の「住宅着工件数」の年換算は約91万戸。住宅着工数というのは景気の善しあしを測るバロメーターとして用いられる。日米ともにまずまずの数字らしい。

 で、お気づきだろうか。日本は約102万戸で、米国は約91万戸。人口は日本が約1億2700万人で、米国は約3億1400万人。約2・6倍の差があるのに日本の方が住宅着工数が多い。

 実は、日本人は世界的にみても異様なほど「新築好き」なのだ。

 統計数字でみると鮮明に分かる。日本では、売買される住宅のうち9割近くが新築。それに比べて米国は中古がほぼ8割、英国は約9割でフランスは7割弱だ。

 つまり、日本人は「家を買う」となると、ほとんどが新築になっている。なぜだろうか。

 日本で建て替えられる住宅は築後30年が平均で、米国では55年、英国では77年。日本では築30年で家を壊して建て替えているが、英国では77年持たせていることになる。

 これにはいろいろな理由があると思う。日本は木造住宅が多いのに対して、英国は石やレンガ、コンクリート造が多いという。しかし、何世代も経た木造住宅も珍しくない。

 私は、日本人の宗教観も大いに影響していると思う。例えば神道の「不浄」観。新しいものは清く、古いものはけがれているという感覚だ。また、仏教の「諸行無常」。世も人も常に変化するのだから、頑丈な家を建てても仕方がないという発想。

 さらに、日本は地震や台風などの天災が多い。江戸時代には一生のうち何度も火事で焼け出された人がたくさんいたはずだ。だから「家なんか住めればいい。そのうち建て替えるから」的な価値観が広がったのかもしれない。

 だが、時代は変わった。2006年に定められた「住生活基本法」では、ストック(中古住宅)の重視が明解に打ち出されている。さらに建築技術の向上やリフォームの浸透により、中古住宅の価値が見直されている。

 そうでなくても、日本では住宅が余っている。全住宅の約13%が空き家。人口比率で米国の3倍近くの新築住宅をつくる必要性があるとは思えない。こんなことをしていれば、日本の住宅はますます余っていく。資源やエネルギーのムダである。

 私は、今後5年から10年くらいの間に、欧米諸国のように住宅市場の主役が新築から中古に移行するのではないかとみている。もし、そうなれば日本の住宅産業はコペルニクス的な大転換を遂げることになる。マンションデベロッパーは事業を縮小せざるを得ないし、ハウスメーカーも淘汰されていく。

 逆に、仲介(中古)市場の規模は今より格段に拡大する。中古住宅の統一的な品質評価基準も定められるだろう。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。

 

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