マンション業界は確実に衰退する 20年後は9割減の市場縮小も…

2013.08.25

 不動産業界の人々の多くは、せいぜい2〜3年先のことしか考えていない。末端の人間なら、目の前の物件を売ることで精いっぱいかもしれない。

 しかし、もう少し先のことを考えてもバチはあたらない。見えなかったものが見えてきて、業界の風景が新鮮に映るかもしれない。

 現在、マンション購入の「適齢期」と呼ばれる30代と40代の人口は、約3490万人である。10年後は約2980万人にまで減る。減少率は15%。簡単に言えば、お客さんの絶対数が15%減る。これが20年後には2490万人になる。減少率は約29%だ。

 「だったら、今の7割に事業を縮小すればいいじゃない」などと、能天気に考えてはいけない。マンションは、車のように10年ちょっとで壊してしまうワケにはいかない。造れば造るだけ、ストックとなって市場に蓄積されていく。

 それに今の建築技術で造られたマンションは、50年以上は確実に使えるだろう。もちろん「きちんとメンテナンスを行う」のが前提だが。

 するとどうなるのか。実は、今でも日本の住宅は余っている。5年前の統計で、日本全国の空き家率は13%だった。

 それは田舎の話で、都会は住宅が足らないのでは? だから、都市圏では今後もマンション開発事業を続けられる…と考える人も業界内に多いかもしれない。でも、それも大きな間違い。東京の空き家率は11%超、大阪は14%台で推移している。

 繰り返すが、これは5年前の統計だ。実は今年の後半、この数字が国土交通省によって更新されるはずで、全国平均で20%に迫るのではないかと予想する向きもいる。

 そうなると、5戸に1戸は空き家という異常事態となる。これは近未来の話ではなく、現在の統計数字なのだ。

 少し前にここで書いたように、日本人は異様なほど「新築好き」だ。日本のマンション業界は、そういった日本人の特異性に支えられている面が大きい。しかし、その歪な構造はいつか崩壊する。これも書いた話だが、郊外の新築マンション価格は中古の2倍という現象が、今や当たり前になってきた。

 数年前、「今の若者は車を買わなくなった」という社会現象が話題になった。私は、あと5年もしたら「今の若年層はマイホームにこだわらなくなった」という風潮が顕著になると予想する。

 10年後は、この傾向がさらにはっきりしているだろう。中古住宅の価格や賃料が、今ほど若年層の負担にならないレベルにまで下がっているはずだ。すると、多額のローンを組んで無理とリスクを背負いながら新築マンションを購入することに、多くの人は意味を見いだせなくなる。

 そうなると、市場の縮小は人口減少率をはるかに上回る規模となる。10年後は今の半分、20年後は9割減でもおかしくない。つまり、マンション業界は確実に衰退することになる。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。

 

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