メルシャン・横山清社長 プロパー初のトップがシェア20%へ攻める

★メルシャン・横山清社長(53)

2013.08.27

 ワイン業界トップのメルシャンが体制一新、攻めの姿勢をさらに明確にした。率いるのは、オーナー家を除くとプロパー社員から初のトップ就任となった横山清氏。最強軍団を意図するキリングループのダイバーシティ経営の象徴人事ともいえる。ライバル、サントリーを突き放し、「シェア20%」を目指す同氏の経営戦略を直撃した。

 ──鈴木徹前社長(現・キリンホールディングス常務)から、バトンタッチに際して「業務改革を止めるな」と言われたと聞きましたが

 「鈴木はビール営業出身ですが、ワインへの思いが大変強かった。私はもともとワインに思い入れの強いメルシャン出身者として、その鈴木の思いを引き継いで改革をさらに進め、もっともっと強い会社にしていきたいと考えています」

 ──それにしても、メルシャンの改革の歩みは極めて早かったですね

 「確かに2007年のキリンの資本参加、水産不祥事を機にした完全子会社化とワイン以外の事業の外部化などが次々と行われて、社員には戸惑いがあったかと思いますが、経営のあり方としては正しい方向へ進んだと考えています。さらに1月にはキリングループが一体となって国内飲料事業を推進していくということでビール、ビバレッジ、それにメルシャンの3社を統括するキリン(株)がつくられたが、これも当社の改革の一区切りと同タイミングになり、これを機にグループ一丸となって攻める体制ができました」

 「メルシャンの営業部隊はわずか200人ほどですが、昨春発足したキリンビールマーケティングには約3000人のパワーがあり、これにより営業が点から面になり、ワイン営業が強化されたことも当社にとって大きいですね」

 ──今後、メルシャン自身の体質強化という面ではどういう施策を

 「私は人事教育部門が長いので研修等をしっかりやっていくつもりです。特にワイン中心の会社になったわけですので、社員全体をワインのプロに育てていきたい。ワインアドバイザーはもちろんのこと、現在55人いる、さらに上級のシニアワインアドバイザーを増やし、営業強化につなげていきたいですね。海外で勉強してきた人、山梨のシャトー・メルシャンなどでワインづくりを肌で感じ取ってきた社員も多く、そうした人材の厚みを併せて生かしていきたいと思っています」

 ──商品面ではどのあたりに注力を

 「ワインは伸びているとはいうものの、全アルコール消費量に占める割合はまだ3・5%ほど。伸びしろは大きいとも言えますが、まずはもっと多くの人に手に取って飲んでもらうことが先決。そこでここ数年、取り扱いに便利なペットボトルや、開けやすいスクリューキャップを順次導入してきました。そうしたこともあり、酸化防止剤無添加のワインや本格的な味わいが手頃な価格で楽しめるよう開発した『エブリィ』など、非常に市場で受け入れられています」

 「今後もこうした活動を一段と強化しつつ、輸入ワインでも極めてコストパフォーマンスの高いチリ産の『フロンテラ』などを売り込んでいく。同時に、最近人気の国産ぶどうを100%使用した日本ワインをはじめとする中・高級ワインも浸透させていきたいですね。うちはフルラインで商品を扱っているので、ワイン市場全体を伸ばす努力をする中で、売り上げをさらに伸ばしていきたいと思っています」

 ──シェア20%を目標にされていますが

 「現在進行中の中期経営計画の終わる2015年には、何とか達成したい。ワイン需要は他のアルコール飲料が厳しい中で、このところ第7次ブームといわれ着実に伸びてきています。現在、当社のシェアは18%強ですが、市場全体が伸びているので20%に伸ばすには相当な努力が必要。しかもビールなどと環境が違い競争相手の数が非常に多いので、わずか2%といえどもハードルはかなり高い。しかし市場の伸び以上の数字を達成し、やり遂げなければならないですね」 (清丸惠三郎)

 【東男に京女

 NHK大河ドラマ「八重の桜」で話題の京都・同志社大学出身。ただし「18歳まで神奈川県川崎市で育ちました」。

 なぜ、同志社を選んだかと聞くと「親元を離れて生活してみたかったことと、もう1つ京都に住んでみたかった」という。だが、実は理由がもう1つ。「東男に京女というでしょう。それに憧れて」。京都での学生生活は満喫したものの、残念ながらこちらの方は憧れで終わったそうだ。

 【空手

 大学時代、下宿近くの空手道場に通い、初段を取っている。いまは健康維持のために通っているジムで「キッキングとか、パンチングとかを軽くやる程度」とか。

 最近の健康法はむしろ、ゴルフ。再開したとたんに張り切りすぎて「練習所でクラブをブンブン振り回したら、アレッ痛いなぁと。医者に行ったら肋骨(ろっこつ)が2本折れています」という結果が待っていた。油断大敵。

 【

 「学生時代から好きだった。当時は、お酒かビールでしたが」。いまはやはりワインが一番多い。「いろいろなものを飲みますが、赤のミディアムボディがもっとも多いですかね。量は適正を心がけています」。もっとも、時には飲み過ぎることもあるようだ。

 【モットー

 「問題から逃げない」を若いころから自分に命じてきた。2010年、メルシャンは水産飼料部門で不祥事が発生した。この当時、横山氏はCSR・CC推進部長で広報も担当していた。

 「(社内にもいろいろな考え方があり)対応は難しく悩んだが、ぶれないで対応しようと考え、そのとおりにやってきたつもりです」。翌年には執行役員になっていることをみると、今日への道はその辺りでの評価ともつながっているのだろう。

 【会社メモ】本社・東京都中野区。キリンホールディングス傘下のワイン主体の事業会社。株式は中間持ち株会社で国内飲料事業を統括するキリンが100%保有。1934年、アルコール・合成清酒メーカーとして出発し、61年にワイン事業に進出した。国内シェアトップ。自社で、ぶどう栽培から行う国産の「シャトー・メルシャン」がヨーロッパの品評会で高評価を得ている。「ワインのおいしい未来をつくる」をスローガンに掲げる。2012年度の業績は、ワイン事業は好調ながら多角化部門を切り離した結果、売上高697億円、営業利益21億円と減収増益。資本金209億円超。従業員559人。

 ■横山清(よこやま・きよし) 1959年生まれの53歳。神奈川県生まれ。同志社大学法学部卒。「お酒が好きだった」こともあり、83年、三楽オーシャン(現・メルシャン)に入社。人事部門や国際部門が長く、米国月桂冠への出向経験もある。今年3月から現職。メルシャンのワイン中心の会社として体制が確立したのを機にさらなるパワーアップを図りつつある。2015年には市場シェア20%を確保するのが大きな経営目標。

 

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