都会人よ、田舎の家は早めに売ろう 5年後10年後は…

2013.09.29

 残念なことだが、日本という国は衰退傾向にある。アベノミクスがどこまでこの国を元気にしてくれるか分からないが、減少している人口を増加に転じさせることができるだろうか。おそらく、そこまでは期待できないのではないか。

 地方都市ではコンパクトシティ構想というのがはやっている。街の規模を小さくして、都市機能の集中を図ることで効率化を進める、という考え方だ。中心エリアにマンションを集めて、その周辺に行政、商業、医療、健康などの施設を置いて集中的に整備しようというのだ。

 その方が経済的、人的資源を効率的に配分できる。青森市では、それによって冬の除雪費用を節約しようしている。

 人口が膨張していく過程では、市街地は郊外に広がらざるを得なかった。しかし、人口減少期に入ると逆に収縮させなければならない。そう考えれば、このコンパクトシティという考え方は、極めて自然だ。

 ただ、これは不動産業者的な視点から見ると大変なことだ。見捨てられた郊外の不動産は、その資産価値が激減することになる。

 例えば、あまりにも人が少なくなったエリアへはインフラ整備や行政サービスが及ばなくなるかもしれない。ほとんど車や人が通らない道路を整備するために、予算は回されなくなるだろう。あるいは、有線電話を引くために、電話会社から多大な費用を請求されることもあり得る。

 読者諸氏の中で地方都市の郊外に誰も住まない家を所有している方がいれば、早めに売却すべきだろう。今ならまだ買い手が現れるかもしれない。しかし、5年後10年後は分からない。年月がたてばたつほど、資産価値は減っていくはずだ。

 この「早く売った方がいい」というエリアは、人口減少の激しい地方だけの話ではない。実は大都市の郊外でも、ほぼ同じようなことがいえる。

 人口が増えていた数年前まで、マンションの事業用地はどんどん郊外へ広がっていた。特に景気が今より多少良かったころに、この現象が激しかった。

 首都圏では16号線の外側、関西圏では神戸の山奥や滋賀県の湖東エリアまで、都心への通勤圏としてマンションが開発され、売り出されていたのだ。

 そういったマンションは今、どうなっているだろうか。

 ありていに言ってしまえば、「まだ値はついている」という状態だ。35年ローンで購入した方は、おそらく残債が資産価格を大幅に上回っている状態だろう。それを一括返済できる資金力がなければ、ローンを返済しながら住み続けるしかない。完済するころに「まだ値がついている」状態なら、そこでやっと売却できる。

 逆に、そういったマンションを相続した人はどうなるのか。

 それはもう売れる値段で売るしかない。賃貸に出すにしても、周りは空き家だらけで借り手は見つけにくいはず。自分で住まないのなら、売れるものは今のうちに売っておくのが正解だ。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。

 

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