ヤマダ電機が赤字転落… 「乾き物」的商品をリアル店舗で購入するメリット乏しい

2013.11.14

連載:経済快説

 家電販売大手のヤマダ電機が、2013年9月中間期の決算で営業赤字に転落した。インターネット通販との競争激化による利益率低下が大きな原因の一つだ。

 小売店の店舗で商品を見て、ネット通販で商品を購入する商品の購入形態を「ショールーミング」と呼ぶ。ショールーミングが広がってきた現在、ネットを通じる販売との競争に苦戦している。

 2010年度の家電エコポイント実施の際には最高益を上げたヤマダ電機が早くも赤字とは、世の中の変化が早い。

 ネット販売では、その場で商品が手に入らないし、送料が掛かるケースがあるが、店舗や商品在庫のためのコストが小さくて済み、販売に掛かる人件費は圧倒的に小さい。小売価格は、ネット販売側が競争力を持っている場合が少なくない。

 また、顧客から見ても、配達を要するような家電製品は、実店舗で買っても、時間と送料が掛かる。同じ物が届くなら、ネットでの購入にデメリットはなく、むしろ便利だ。

 家電製品に限らず、商品名が明確で、どこで買っても同じ品質のものが買えて、時間によって品質が変化するようなことのない「乾き物」的商品は、リアル店舗で購入するメリットが乏しい。

 実物を見たい場合はあるが、店員の説明が役に立つかどうかはケース・バイ・ケースだ。

 家電製品以外に、カメラや本、CD等多くの商品もそうだし、投資信託や生命保険など、金融商品も事情は同じ。

 金融商品の場合、対面販売だと手数料の高い不適当な商品を勧められることが多く、実店舗に近づくと、かえって危険だ。

 最近、ネット販売の是非が話題になっている市販薬も事情は似ている。どこの薬局で買っても、ネットで買っても、同じ薬なら、効果も副作用も同じ。対面販売の薬剤師が「役に立つ」というなら、それは厳密には医療行為の領域だろう。特に、一度使ったことがある薬の再購入に、薬剤師のいる薬局を訪ねよ(しかも、薬剤師不在だと買えない)というのは、病人への意地悪に近い。

 ショールーミング、あるいはネット経由の販売を規制する必要は一切ない。過剰な店舗や在庫、販売人員が、別の生産活動に投入される方が、経済全体として効率がいい。

 たいていの商品は自分で決められるはずだが、「乾き物」の購入に相談が必要な場合、販売と利害関係のない専門家に(ここが大事!)、商品の購入とは別個に、料金を払って相談するのがいい。

 他方、ネット販売では、商品内容の確定・伝達と品質のチェックが難しい「生物」的な商品・サービスには、曖昧な利潤が残る余地がある。

 ビジネスの側では、自分の商品が「乾き物」、「生物」、どちらなのかを見極めることが大事だ。(経済評論家・山崎元)

 

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