老朽マンションの「建て替え」はほぼ不可能という現実

2013.12.15


建て替えづらい特性を持つ分譲マンション。中古の購入時には注意が必要(写真と本文は関係ありません)【拡大】

 私は日常業務として、マンション購入に関するさまざまな相談にのっている。都心の古い中古マンションの購入を検討されている方から「建て替えも視野に入れています」という言葉をよく聞く。

 昨今、老朽マンションを建て替えるという話題が多くなったため、それを期待するのだろう。しかし、古くなったからといって「建て替えられる」と考えるのは大きな間違いだ。今の法制度ではほぼ不可能と言っていい。

 国土交通省の統計では、今年4月1日現在、全国で建て替えられたマンションは、準備中の事例を含めても218件しかない。これに対して、建て替えを視野に入れなければならない1981年以前の旧耐震基準の物件は、全国に3万8000棟以上ある。つまり、今まで0・5%程度しか建て替えが実現していない。そして、今後もこの数字がハネ上がるとは思えない。

 建て替えが実現するマンションには共通点がある。それは、誰もが住みたくなるような場所にあって、なおかつ容積率が大幅に余っているということ。

 建て替えて住戸数を増やし、それを分譲することで建築費とデベロッパーの利益が出る場合に可能となる。各区分所有者の負担額がゼロでないと、建て替えは不可能と考えていい。そういう条件を備えた老朽マンションは、おそらく全体の2%未満だろう。

 法制面で言えば、全区分所有者の5分の4が賛成すれば、建て替えができることになっている。しかし、容積率が余っていないマンションだと、建築費は100%自己負担になる。

 建築費は、デベロッパーの発注ベースで1戸当たり2000万円前後。全区分所有者の8割がそれを負担できる物件は、どれだけあるだろうか。

 結局、全体の98%以上のマンションは、事実上建て替えが不可能なのだ。多くの人は、この条件を知らずに都心の老朽物件の購入を考えている。何とも危うい。

 しかし、建て替え計画のある老朽マンションを購入すると、何年か後に自己負担ゼロで同じくらいの広さの新築住戸を手に入れることができるかもしれない。もしそうなれば、とてつもなくラッキーだ。

 実は、そういう“お宝”を見分ける方法もある。やり方は簡単。中古マンションを検討する際、仲介業者に「管理組合の総会議事録を過去3年分送ってください」と依頼すればいい。

 建て替えというのは、通常なら10年くらいの準備期間がある。その間、管理組合の主要な議題となるので、必ず総会議事録にそれが出ている。総会議事録をくまなく読めば、建て替えが実現するか否かも、おおよそ予測できる。

 もっとも、そういう物件はあまり売りには出ない。また、実現できないマンションよりも価格が高いケースが多い。根気よく探すしかない。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。

 

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