味の素「鍋キューブ」ヒットの裏 失敗を徹底的に研究し開発

2013.12.18


鍋キューブ【拡大】

 冬本番。鍋料理のおいしい季節だ。液体物が主流の鍋つゆ市場で、2012年8月に全国発売したキューブ状の鍋つゆ「鍋キューブ」(味の素)が大ヒットしている。

 開発したのは「ほんだし」などの調味料や食品を開発する事業部。和風だしの素の市場規模は、時短料理のブームでメニュー専用調味料へシフトし、減少傾向にある。1970年発売のロングセラー「ほんだし」も市場縮小に巻き込まれていた。

 「中長期的に事業を成長させるための新たな商品開発が、2009年頃から課題となっていた」(開発マーケティンググループ、島谷達也さん)

 開発に当たって「今までと同じメンバー、考え方では新しい物は生まれない」と、マーケティング、研究所だけではなく、営業や広告部門、代理店からもメンバーを集め、総勢21人が侃々諤々(かんかんがくがく)、「市場規模が大きく、この先伸びる可能性がある商品」をテーマにアイデアを出し合った。

 そこで生まれた約120のアイデアの一つがキューブ状の鍋つゆだった。「鍋つゆ市場は300億円ほどの右肩上がりの成長市場であり、長年積み重ねてきた『コンソメ』の製造技術を生かせるのではないかと考えた」(同)のである。

 しかし、「コンソメ」と鍋つゆは全く違った。「コンソメ」は肉の風味とうま味・塩味だけのシンプルな構造なのに対し、鍋つゆは複雑な味わいが必要になる。そのため、単純に複数の原材料を圧縮してキューブに固めるだけでは、ぼろぼろになった。

 逆に保形成の高い原料を多くすると使うときに溶けないから、まずい。半ば諦めの声も出たが、島谷さんは「原因がわかっているなら、できないはずがない」と言い張ったという。最適な原材料の配合と圧縮の力を求め試行錯誤、原料一つ一つを見直し、新たな原料の開発も行った。

 味の素は、2001年、粉末「うまいちゃんこの作り方教えます。」で鍋つゆ市場に進出したが、2年で撤退している。島谷さんはこれを徹底的に研究、粉末の形態は加工感が増し、おいしさを伝えられなかったこと、発売に当たり利点である持ち運びが便利で経済的なことを訴求せずに、「ちゃんこなべ」というメニューカテゴリーのみを全面に打ち出したことなど失敗の原因にたどりついた。キューブは、「コンソメ」のようにおいしさが“ギュッと”詰まっている感がありイメージがいいため“ギュッと”の文字をブランド名より大きく打ち出した。

 また、パッケージはあえて箱にせず液体ものと同じパウチを採用。「鍋つゆのイメージを尊重し、その一つでありながらおいしい、うまいことを打ち出した」。随所に失敗の教訓を生かしたのだ。

 さらに、今シーズンはパッケージの表示を昨年の「4人前なら2回分」から「キューブ1個が1人前 8個入り」に変更、キューブの1人前からでも作れる自在性の利点が際立つようにした。「常に“成功”を疑うことで、さらに成功する」と島谷さんは、改良点を探し続けている。 (村上信夫)

 

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