部下が突然「辞めたい」 本心は「悩みを聞いてほしい」

2014.01.30


イラスト・きょう之助【拡大】

 私が外資でマネジャーをしていた頃、最も恐れていたことは、部下が突然、「辞めたい」と言ってくることだった。

 部下の立場にいた頃は、いつ会社、つまりマネジャーから「明日から出社に及ばず」と言われるのかを恐れていたのだから、不思議なものだ。

 「福留さん、会社を辞めたいのですが……」。こう言われる夢を見て、寝汗をかいたことも何度もあった。

 なぜ、部下は辞めたいと言い出すのか。ボーナスを含めた金銭的処遇、フェアな社内評価の有無、社内の人間関係、個人および会社としての将来性などなど要因はさまざまある。ケース・バイ・ケースであり、特定することは難しい。

 私自身の経験で思うことは、組織の中で疎外感を持った人は辞める可能性が高いということ。つまり、人間はいくつになっても褒められ、悩みを聞いてほしいものだ。

 実際に私がチームをマネージしていた頃、部下の一人が他のメンバーが帰った後に私のオフィスを訪れた。

 「福留さん、実は私、この会社を辞めようと思いまして……」

 「えっ、なんで?」と聞く私に、彼は困った表情をした。そのとき私は、まだ脈があるなと思った。本気で辞める場合は、私に交渉する余裕を与えないケースがほとんどだからだ。

 このときは、誰もいないオフィスで、彼は個別に報告に来た。いや、相談に来たという方が正しいだろう。彼は、辞めるというよりも私に留めてほしかった。

 同時に、日頃から不安に思っていることを私に聞いてほしかったのだ。

 「もしよければ、これから食事をしながら、いろいろと話をしないか。君の意見も聞きたいし」。こう誘う私に彼は同意してくれ、その後、夜遅くまで語り合った。

 別れ際、「福留さん、なんだかすっきりしました。もう少しここで頑張ってみようと思います」といってくれた。

 内心、彼に辞められたらどうしようかと焦っていた私は、この言葉にほっとした。そして普段から十分に彼の意見を吸い上げる努力をしてこなかったことを猛省した。直属の上司から注目されないことは、部下にとっては会社を辞めることを考えるほど重い。マネジャーとして、このことを忘れてはいけない。

 ■福留浩太郎(ふくどめ・こうたろう) 株式会社グローバル・リーチ代表。邦銀勤務の後、15年超を欧米金融機関に勤務し、経営幹部として活躍。昨年3月に慶應義塾大学大学院修了、経営学修士号(MBA)を取得。その後、新たに教育事業を立ち上げ、現在に至る。

 

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